ロッテマート

ロッテマートは、韓国の大手流通企業グループであるロッテショッピング株式会社が運営する主要なディスカウントストアチェーンです。

創業と成長

ロッテマートの歴史は1998年に始まりました。最初の店舗をオープンして以来、韓国国内での事業を急速に拡大。特に創業からわずか2年後の2000年末には、年間売上高が1兆ウォンを突破するなど、目覚ましい成長を遂げました。この成功を経て、ロッテマートは短期間のうちに韓国を代表する主要なディスカウントストアの一つとしての地位を確立しました。

事業規模と店舗ネットワーク

事業規模は年々拡大しており、2021年時点では合計286店舗を展開しています。このうち、韓国国内には116店舗のほか、スマートストア3店舗、ビッグマーケット6店舗があり、多様な形態でサービスを提供しています。さらに、国際展開にも積極的で、海外には合計168店舗を展開。特に中国には105店舗、インドネシアに39店舗、ベトナムに4店舗を構えるなど、アジア地域を中心にグローバルな事業ネットワークを構築しています。

特色あるサービス

店舗の中には、特定の顧客層のニーズに応えるユニークなサービスを提供している例もあります。例えば、ソウル駅に位置するロッテマート店舗は、特に外国人観光客の利用が非常に多いことで知られています。そのため、彼らの利便性を高める目的で、国際スピード郵便（EMS）の配送窓口が店内に設置されており、購入した商品を直接海外へ発送できるサービスを提供しています。

中国事業の困難と再編

ロッテマートの海外事業、中でも中国での展開は、大きな変化と困難を経験しました。2016年、韓国へのTHAAD（高高度防衛ミサイルシステム）配備に対する中国側の反発が強まる中で、多くのロッテマート店舗が消防法違反などを理由とする行政処分を受け、営業停止や休業に追い込まれる事態が発生しました。この政治的な背景を持つ問題は、ロッテマートの中国事業に深刻な打撃を与えました。

この困難な状況を受け、ロッテ側は中国事業全体の将来について検討を重ねました。2017年には、投資銀行であるゴールドマン・サックスを通じて中国事業の外部への売却を模索しましたが、これは最終的に実現しませんでした。しかし、事態は改善せず、2018年に入っても中国国内の合計99店舗のうち、実に87店舗が依然として休業状態にあるなど、事業継続が極めて難しい状況が続きました。

事業からの事実上の撤退

こうした背景の中、ロッテマートは中国事業からの事実上の撤退を進めることを決定しました。2018年5月には、中国国内で最も多くの店舗を擁する主要拠点の一つであった上海市内の事業を、現地の有力流通企業である利群集団に売却することを発表しました。これに先立つ同年4月には、北京市内の店舗についても、別の中国流通大手である物美集団への売却が既に決定していました。ロッテマートは、これら主要都市の店舗売却に加え、中国国内に残る他の店舗についても、引き続き現地企業との売却交渉を進めていることを明らかにしており、中国市場における事業規模は大幅に縮小されることとなりました。

ロッテマートは、韓国国内における確固たる地位を維持しつつ、インドネシアやベトナムなどの他の海外市場での事業展開に注力していく姿勢を示しています。

もう一度検索