国際スピード郵便

国際スピード郵便（EMS）とは

国際スピード郵便（EMS: Express Mail Service）は、万国[[郵便連合]]（UPU）加盟国間で提供される国際[[郵便]]サービスの一種で、書類や物品を迅速に送るための手段です。クーリエ便としても分類され、物理的な郵便業務の中では最も迅速な送達が可能です。世界192の郵便事業体がサービスを提供しており、日本では日本[[郵便]]が125か国・地域に向けてサービスを展開しています。

EMSの特徴

EMSは、国際版の速達書留と考えると分かりやすいでしょう。速達と同等以上のスピードで輸送され、配達状況はバーコードラベルで記録・管理されます。多くの国で、パソコンや郵便局の端末を通じて郵便物の追跡が可能です。輸送中は最優先で取り扱われるため、多くの地域へ2日から10日程度で配達されます。通常郵便物の航空便よりも数日から1週間早く届くのが特徴です。

また、損害賠償制度もEMSの大きな特徴です。書類はもちろん、30キログラムまでの比較的大きな荷物も送ることができます。料金には2万円までの保険が含まれており、追加料金を支払うことで最大200万円までの補償を受けることが可能です。

日本における沿革

1975年3月3日: 「国際ビジネス郵便」として、東京国際[[郵便]]局と大阪中央[[郵便局]]で、イギリス、ブラジル、香港向けのサービスを開始。当時は郵政省の承認が必要でした。
1981年7月1日: 外国郵便規則に規定され、法令上の名称は「ビジネス郵便」となるも、国内のビジネス郵便との混同を避けるため、一般向けには「国際ビジネス郵便」の名称を維持。
1983年11月10日: 取扱局を主要都市25局に拡大。
1984年8月23日: 外国郵便規則改正により、法令上も「国際ビジネス郵便」に改称。取扱局を全都道府県庁所在地を含む主要都市に拡大。
1992年10月1日: 「国際エクスプレスメール」に改称。
2000年3月: タイムサーテンサービス（配達時間保証）をシンガポール、香港、韓国との間で開始。
2000年6月20日: 「国際スピード郵便」に改称。
2004年2月2日: 定形国際スピード郵便物「EMS Asia/World」の試行を開始。専用封筒を使用し、ポスト投函も可能。
2005年2月1日: 定形国際スピード郵便物の封筒の販売とサービスを終了。
2009年2月16日: 内容物の価格が20万円を超える場合、通常の貨物と同様の通関手続きが必要に。
2009年10月5日: 国際[[郵便]]マイページサービスによるオンラインシッピングツールの提供を開始。
2013年4月1日: 冷蔵国際スピード郵便（クールEMS）を台湾とシンガポール向けに試行開始。
2017年12月31日: タイムサーテンサービスを廃止。
2022年6月1日: 地帯区別を変更し、特別追加料金を設定。

通関について

日本の場合、通常、貨物の通関手続きは荷送人または受取人、あるいはそれらの代理人が行います。しかし、内容物の価格が20万円以下のEMSを含む国際[[郵便]]物については、税関職員が主体となって税関検査を行います。20万円を超える場合は、通常の貨物と同様に、自身で手続きを行うか、日本[[郵便]]などの通関業者に委託する必要があります。

日本からの発送方法

EMSで送る際には、書類用または物品用の専用ラベルに記入・印刷するか、オンラインシッピングツールを利用して必要書類を印刷します。これらの書類は、専用の送り状袋に入れて使用します。全国の郵便局でEMS専用の封筒も販売されており、2018年までは無料でしたが、2019年からは有料となっています。また、相手国によっては税関告知書やインボイス、HSコードが必要になる場合があります。最大重量は30kgまでですが、内容物や宛先国によって上限が異なる場合があります。

現金や有価証券、宝石などの貴重品、航空・郵送禁止物品、相手国が輸入を禁止している物品は送ることができません。

タイムサーテンサービス（廃止）

かつて、東京23区内と大阪府内の一部の郵便局では、所定の時間までに引き受けた香港、シンガポール、韓国、台湾、中国（北京・上海）宛てのEMSを翌日中に配達する「タイムサーテンサービス」がありました。利用には追加料金が必要でしたが、利用者の減少に伴い2017年12月31日に廃止されました。

クールEMS

クールボックスを利用して、台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フランス、インド宛てに、0～10℃または-15℃の二温度帯で最短2日で配達するサービスです。ただし、発送は月曜日または火曜日に限られます。クールボックスにはサイズと重量の制限があり、冷蔵の場合は15kgまで、冷凍の場合は10kgまでです。

利用方法

クールEMSを利用する際は、発送希望日の5日前正午までにFAXで郵便局に申し込みます。申し込み締切日の翌日までに郵便局から確認の電話があり、その後、予冷・梱包をして発送します。香港、ベトナム、タイ宛ての場合は、原産地証明告知書が必要になります。

その他

EMSは、速達扱い、書留、配達記録、保険がセットになったサービスですが、国際書留郵便とは異なり、現金や有価証券、貴金属などを送ることはできません。また、2010年には、欧州連合から、日本郵政のEMSに対して、民間国際エクスプレス事業者と同等の保安規則を適用すべきという提案がなされました。

脚注

EMSは、国際[[郵便]]サービスの中でも特に迅速かつ安全な手段であり、多くの国で利用されています。日本から海外へ書類や物品を送る際には、EMSの利用を検討すると良いでしょう。

関連項目

クーリエ便
郵便
航空扱い
郵便追跡サービス

外部リンク

* 国際スピード郵便 ( EMS ) - 日本[[郵便]]

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