ロバートホール水

『ロバートホール』『ロバートホール水』

フジテレビ系列で2003年10月から2004年9月にかけて深夜に放送された、コント中心のお笑い番組です。「ロバホ」という通称で呼ばれ、後に人気番組となる『リチャードホール』の前身にあたります。

企画意図と舞台設定

この番組は、当時テレビでの司会業が活動の中心となっていた中堅お笑い芸人たちが、改めてコントに取り組む場として企画されました。番組の舞台は、異色の支配人、ロバート・リードが率いる架空の劇場「ロバートホール」という設定。番組は毎回、レギュラー出演者の紹介から始まり、続いてゲストによる短い前説が行われた後、メインのコントパートへ移行するという構成でした。

出演者と「ロバートファミリー」

放送開始当初は固定のレギュラーメンバーがいませんでしたが、約1〜2ヶ月の間に、現在のバラエティ界を牽引する実力派の芸人たちが主要メンバーとして定着しました。主なレギュラー出演者には、さまぁ〜ず、くりぃむしちゅー、中川家、おぎやはぎ、劇団ひとり、森三中といった面々が名を連ねています。また、『ロバートホール水』への改題後はアンタッチャブルもレギュラーに加わりました。番組では、出演者やスタッフだけでなく、スタジオ観覧に来た人々も含めて「ロバートファミリー」と称していました。レギュラー陣のほか、久本雅美、ホンジャマカの石塚英彦や恵俊彰（それぞれ単独での出演）、笑福亭笑瓶、ダチョウ倶楽部、土田晃之などが数回ゲストとして登場しています。

放送時間の変遷と番組名の変更

番組は2003年 10月7日深夜に『ロバートホール』としてスタート。当初は火曜深夜（水曜未明）の0時35分から放送されていましたが、2004年1月からは月曜深夜（火曜未明）の『月深』枠へ移動しました。さらに同年4月には水曜深夜（木曜未明）の同時刻へ再度移動し、この機会に番組名が『ロバートホール水』と改められました。

番組の終焉と『リチャードホール』へ

約1年間の放送期間を経て、2004年秋のフジテレビの番組改編に伴い、『ロバートホール』シリーズは放送を終了しました。番組内では、設定上の支配人であるロバート・リードが「クビ」になったと描かれ、後継番組として『リチャードホール』がスタートしました。番組名が変更された理由は、支配人というキャラクターを通して語られたところによると、「（現実世界に）同名のホールが存在した場合に紛らわしくなることを避けるため」とされています。

お笑いトリオ「ロバート」との関係

番組名に「ロバート」という言葉が含まれますが、吉本興業所属のお笑いトリオ、ロバート（秋山竜次、馬場裕之、山本博）とは一切関係がありません。トリオのロバートがこの番組に出演したことは一度もありませんでした。この点について、2004年3月に放送された特別番組『明石家さんまのフジテレビ大反省会』の中で、「なぜ番組にロバートが出ないのか」という視聴者からの疑問が苦情として紹介されたエピソードも残っています。

多彩なコント群

番組からは、出演者の個性を活かした多くのユニークなコントが生まれました。代表的なものとしては以下が挙げられます。

四MEN楚歌: くりぃむしちゅーとおぎやはぎによるユニットコント。
3年B組北八先生: 劇団ひとりが北京出身の教師を演じる、『3年B組金八先生』のパロディ。後に中川家礼二演じる上海出身の上八先生も登場。
ポジティブアーティスト TEZZ: くりぃむしちゅー有田哲平扮する、極端にポジティブなアーティスト。
黒光テカ男: さまぁ〜ず大竹一樹演じる個性的なキャラクター。
茶畑学園合唱部: 劇団ひとり扮する川島先生と森三中のコント。
フランダースのバカ犬: さまぁ〜ず三村とくりぃむしちゅー有田による。

この他にも、「ジョージとマイケル」「ウィーン少ボケ合唱団」「キャバクラ『お台場ビーナス』」「グレー天使」「MCアリーの客引きラップ」「Dr.キョトー診療所」など、多数のコントが制作されました。

支配人ロバート・リード氏

番組の象徴的な存在である支配人、ロバート・リード氏（1957年 - 2015年）は、黒いシルクハットに赤いスーツ、蝶ネクタイという出で立ちで登場し、「ラスベガスからやって来たナゾのエンターテイナー」と紹介されました。タップダンスやステッキワークを得意とし、オープニングでその腕前を披露しました。彼は著名なタップダンサーの家系に生まれ、テンプテーションズやサミー・デイヴィスJr.といった著名なアーティストとの共演経験もある実力派のダンサーであり、後進の指導やタップフェスティバルの主催も行う人物でした。

主題歌など

オープニングテーマはSWING KIDSの「Shout and Feel It」が使用されました。エンディングテーマは時期により異なり、JACKSON 5の「I WANT YOU BACK」などが使われています。また、月曜深夜時代には、出演者全員で童謡「アイアイ」の替え歌「バイバイ」を歌っていました。

ソフト化の状況

『ロバートホール』単独でのDVDは、Vol.1が発売予定だったものの、結局中止となりました。しかし、後継番組である『リチャードホール』のDVDシリーズ（特に『同窓会』シリーズ）には、『ロバートホール』時代に放送されたコントの一部が特典として収録されています。ただし、全てのコントや番組冒頭・終盤の演出などが収録されているわけではなく、未収録の部分も多く存在します。

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