ロバート・カーン

ロバート・エリオット・カーン

ロバート・エリオット・カーン（通称ボブ・カーン）は、アメリカ合衆国の計算機科学者であり、インターネットの基盤を成すTCP/IPプロトコルの共同開発者として知られています。1938年12月23日にニューヨークのブルックリンで生を受けたカーンは、父が教育者であった家庭に育ち、未来学者のハーマン・カーンが親族にいるなど、知的な環境で影響を受けて成長しました。

カーンは最初、ニューヨーク市立大学クイーンズ校で化学を学んでいましたが、その後、ニューヨーク市立大学シティカレッジに移り、1960年に電気工学の学士号を取得しました。続いてプリンストン大学で修士（1962年）と博士（1964年）を取得し、その後はベル研究所での勤務を経て、マサチューセッツ工科大学（MIT）で助教授として教鞭を執りました。カーンはBBNテクノロジーズに移り、そこでコンピュータネットワークの開発に従事しました。

インターネットの発展

1972年、カーンは国防高等研究計画局（DARPA）に移り、同年にInternational Computer Communication ConferenceでARPANETのデモンストレーションを行いました。これは一般へのARPANETの公開を象徴する出来事として知られています。この後、カーンは各種コンピュータネットワークを結ぶためのTCP/IPプロトコルの開発に寄与しました。このプロトコルは、異なる種類のコンピュータが相互に通信できるように設計されており、オープンアーキテクチャに基づいています。

カーンが手掛けたTCPの設計には、いくつかの重要な特徴がありました。これには、情報をパケットとして分割し、ネットワーク上で効率良く転送するためのゲートウェイ機能、情報の順序を識別するための番号付与、如いては特殊なACKパケットによる受信確認、タイムアウトによる再送機能、さらにはチェックサムによる誤り検出機能などが含まれます。カーンは1973年にヴィントン・サーフと共同でTCPの最初のバージョンを完成させ、後にこれがInternet Protocol（IP）と分離され、TCP/IPとして知られるようになりました。

組織活動

1986年、カーンはCorporation for National Research Initiatives（CNRI）を設立し、以降は会長兼CEOとして活動しています。CNRIは、National Information Infrastructure（NII）に関する研究と資金提供を行う非営利組織です。また、カーンはインターネット関連の標準策定やポリシー策定のため、1992年にヴィントン・サーフと共にインターネット協会を設立しました。

受賞歴

カーンの業績は数多くの賞で評価されており、1993年にはSIGCOMM Awardを、1997年にはアメリカ国家技術賞を受賞しました。さらに2004年にはチューリング賞をヴィントン・サーフと共同で受賞し、2005年には米国の大統領自由勲章も授与されました。彼の業績は、インターネット技術の礎となったことから、情報通信技術における重要な貢献として広く認識されています。

学位

カーンは、プリンストン大学を含む複数の大学から名誉博士号を受け取るなど、その業績は世界的に高く評価されています。

カーンは未だにインターネット技術の発展に貢献し続けており、彼のビジョンと技術的洞察は、現在のインターネットの形式を形作る上で大きな役割を果たしました。

もう一度検索