ロバート・スウィート (園芸家)

ロバート・スウィート（Robert Sweet, 1783年 – 1835年1月20日）は、18世紀後半から19世紀にかけてイギリスで活躍した植物学者、園芸家、そして鳥類学者です。彼の業績は、当時の園芸界と植物学の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

スウィートは、デヴォンシャーのトーキー近郊にあるコッキントンで生まれました。16歳から庭師としてキャリアをスタートさせ、その後、園芸商の職長や共同経営者として経験を積みました。ストックウェル、フルハム、チェルシーといった地域の園芸商で働き、着実にその技能と知識を深めていきました。

1812年、スウィートはチェルシーの有名な園芸商コルヴィルズに雇われました。この時期に、彼はロンドン・リンネ協会のフェローに選ばれるという名誉を得ています。1818年頃からは、園芸や植物に関する書籍の執筆を開始し、研究者、著述家としての道を歩み始めました。

植物学者、著述家としての活動

スウィートは、イギリスの庭園や温室で栽培されている植物に関する多くの図入りの書籍を出版しました。これらの書籍は、当時の園芸愛好家や植物学者にとって貴重な情報源となりました。彼の書籍に掲載された図版は、王立植物園（キューガーデン）の植物画家であったエドウィン・ダルトン・スミスが主に手掛けました。

スウィートの代表的な著作には、以下のようなものがあります。

『ロンドン郊外の庭園』(Hortus Suburbanus Londinensis, 1818)：ロンドン郊外の庭園に植えられている植物について解説した書籍です。
『ゼラニウム』(Geraniaceae)：ゼラニウム科の植物に関する詳細な研究書です。
『シスチネアエ』(Cistineae)：ハンニチバナ科の植物に関する書籍です。
『イギリスの園芸』(Sweet's Hortus Britannicus, 1826–27)：イギリスで栽培されている植物を網羅的に解説した書籍で、彼の最も重要な業績の一つとされています。

キューガーデンとの論争

スウィートは、キューガーデンを批判したことがきっかけで、キューガーデンから植物を盗んだとして訴えられ、裁判に発展しました。この裁判は世間の注目を集めましたが、最終的にスウィートは無罪となりました。

後世への影響

ロバート・スウィートの業績は、植物学と園芸学の発展に大きな影響を与えました。彼の著作は、当時の植物に関する知識を広め、園芸技術の向上に貢献しました。また、彼の名前は、マメ科の属の学名であるSweetia Spreng.に献名されています。

スウィートが残した詳細な植物の記録と美しい図版は、現代においても研究者や園芸家にとって貴重な資料となっています。彼の情熱と献身は、後世の植物学と園芸学の発展に永続的な影響を与え続けています。

著作リスト

Geraniaceae, 1820–1830
The British Flower Garden, 1823–1838
Cistineae, 1825–1830
Sweet's Hortus britannicus …, 1826–1827, 2. Aufl. 1830, 3. Aufl. 1839
Flora Australasica …, 1827–1828
The florits's guide, and cultivator's directory …, 1827–1832

もう一度検索