ロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニー

ロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニーの歴史

ロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニー（Robert Stephenson and Company）は、1823年にイギリスのニューカッスル・アポン・タインで創立された機関車製造企業です。この会社は、鉄道機関車の専業製造を行った最初の企業として知られています。創業者には、著名な技術者であるジョージ・スチーブンソンとその息子ロバート・スチーブンソンが含まれており、鉄道の発展に多大な寄与をしました。

初期の成功と技術革新

ロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニーは、ストックトン・アンド・ダーリントン鉄道の建設を背景に設立されました。最初の機関車「ロコモーション・ナンバーワン」の製造が成功し、その後「ホープ」、「ブラック・ダイヤモンド」、「ディリジェンス」といった機関車が続きました。これらの初期作品は垂直シリンダーを採用していたため、運行時の揺れが不安定でしたが、徐々に設計の改良が進みました。

1828年には「エクスペリメント」において斜めシリンダーの配置を変更し安定性を向上させました。また、「ビクトリー」は4輪から6輪に改造されたり、アメリカ向けに「アメリカ」と「ウィスラー」の2両が製造されたりしたことも、国際的な需要に応えるための新たな試みでした。

レインヒル・トライアルの勝利

1829年、スチーブンソンの製作した機関車「ロケット」はレインヒル・トライアルにおいて他を圧倒し、技術的革新の象徴となりました。この機関車は多煙管ボイラーを採用し、火室を独立させたことで効率が向上しました。1830年には、さらに進化したプラネット型機関車が登場し、業界で広く受け入れられました。

ロングボイラー設計の導入

鉄道の長距離化が進むにつれ、火室や煙突の設計に新たな課題が浮かび上がり、スチーブンソンはボイラーの長さを延長する必要があると認識しました。これにより、機関車の設計が改変され、1844年には車軸配置を4-2-0にしたロングボイラー機関車が誕生します。この革新は、さらなる機関車の設計にも影響を与えました。

クランプトン型とその影響

1830年代から1840年代にかけて、スチーブンソンはクランプトン型機関車を多く製造しました。これらは内側シリンダーによる非直接駆動方式を採用し、当初は成功を収めましたが、後に他の設計と比較して性能が劣ることが判明しました。

国際的な活動とエジプトへの展開

エジプト総督の依頼により、同社はスエズ-アレクサンドリア鉄道の建設に参画しました。成果を上げるも、フランスの政治的な影響で工事は中止されました。1851年から本格的にエジプト初の標準軌鉄道の建設を始め、地中海とインド洋を結ぶ重要な交通機関となりました。特にアレクサンドリアとカイロを結ぶ線は、1869年にスエズ運河が完成するまでの重要な役割を果たしました。

19世紀末から20世紀の歩み

1899年までに約3,000両の機関車が製造され、ロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニー・リミテッドが設立されました。この時期の機関車は輸出用が多く、様々な海外市場へ供給されました。第一次世界大戦中は、軍需産業として弾薬製造に重点を置き、その後経営が悪化しました。

合併と廃業

1937年、会社はホーソン・レスリーと合併しロバート・スチーブンソン・アンド・ホーソーンズとなりましたが、経営環境は厳しく、1880年代に比べると生産量は大幅に減少しました。1958年に最後の蒸気機関車が製造され、1960年にフォース・ストリート工場が閉鎖されました。

日本とのつながり

日本においては、スチーブンソン社製の蒸気機関車は極めて少なく、1874年に輸入された官設鉄道用の4両が主なものです。これらの機関車の一部は現在も保存されています。このようにロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニーは、鉄道の発展において指導的な役割を果たし、その影響は今も色濃く残っていると言えるでしょう。

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