ロバート・ホワイト (パイロット)

ロバート・M・ホワイトの伝記

ロバート・M・ホワイト（Robert Michael White）は、1924年7月6日にニューヨークで生まれ、2010年3月17日にその生涯を閉じたアメリカの空軍のテストパイロットである。彼は1960年代に、ロケット実験機X-15を使って多くの航空記録を打ち立てたことで知られる。ホワイトは、近代戦での航空機の設計と開発を担当したこともあり、その功績は広く認知されている。

初期の経歴

ホワイトは1942年11月に陸軍航空隊に入隊し、航空士官候補生として訓練を受けていた。1944年2月にはパイロットの資格を取得し、ヨーロッパ戦線で戦闘機パイロットとして戦闘任務に就いた。1945年2月には、ドイツ上空での戦闘中に撃墜され、終戦まで捕虜として過ごすこととなった。戦後、彼はニューヨークのミッチェル空軍基地で予備役として過ごす一方、ニューヨーク大学で電子工学を学び、1951年に学士号を取得した。

朝鮮戦争とその後のキャリア

朝鮮戦争が勃発すると、ホワイトは輸送部隊のパイロット及び技術士官として従事し、1952年からは日本に展開する第40戦闘機スコードロンに参加した。その後、1953年8月に帰国し、グリフィス空軍基地ではシステム・エンジニアとしての要職に就く。彼はエドワーズ空軍基地のテストパイロット・スクールで訓練を受け、F-86 セイバーやF-89 スコーピオンなど、新型機の飛行試験に挑むこととなった。

X-15と記録の樹立

1958年、ホワイトはX-15開発計画の主要パイロットに指名され、1960年4月15日に初飛行を行った。この機体は2台の推力71 kNのロケットエンジンを搭載しており、4ヶ月後には41,500 mの高空を飛行した。1961年2月、ホワイトはエンジンを推力254 kNのXLR-99に換装したX-15で3,660 km/hの速度記録を打ち立て、その後にはマッハ4とマッハ5も超え、同年11月9日にはマッハ6（6,590 km/h）の速度記録を達成した。

この成果により、ホワイトと彼の同僚たちはアメリカの航空界における名誉の賞、ロバート・J・コリア賞をケネディ大統領から授与される。この受賞者の中には、NASAのジョセフ・ウォーカーや海軍のフォレスト・S・パターソン、ロッキード社のテストパイロットであるスコット・クロスフィールドの名前もあった。

さらに、ホワイトはカーチス・ルメイ将軍から「Command Pilot Astronaut」という称号も与えられている。1962年7月にはX-15で96,000 mの高度記録を打ち立て、この高度はアメリカでは宇宙空間と見なされる。彼は初の有翼飛行での宇宙飛行に成功し、アストロノート・バッジを獲得した。

終わりのキャリア

テストパイロットとしての活動を終えた後も、ホワイトはドイツやベトナムなどで任務に従事し続け、1966年からはF-111やF-15の開発計画の責任者も務めた。1982年に退役するまで、彼は空軍内で重要な役割を果たし続け、アメリカの航空史に多大なる影響を及ぼした。彼の勇気と思索は、航空技術の進化に寄与したのみならず、後の世代の宇宙飛行士やテストパイロットたちにとっての模範となった。彼に続く多くの若者たちが、航空や宇宙の探求に挑戦する刺激を受けることになった。

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