ロバート3世 (スコットランド王)

ロバート3世の生涯と治世

ロバート3世（Robert III、1337年8月14日 - 1406年4月4日）は、1390年から1406年までスコットランドの王として在位した。彼の本名はジョン・ステュアート（John Stewart）であり、ロバート2世とエリザベス・ミュアの長男であるが、両親が結婚していた時期にはまだ庶子として扱われていたため、彼の青年期はその背景に影を落とした。

君主としての位置づけ

ロバート3世の王としての地位は名目上のものであり、実際には弟であるオールバニ公ロバートが実権を握っていた。1390年の父の死を受けて王位を継承した彼だったが、彼自身の障害や事故が影響し、実際の国政には深く関与できない状況にあった。

王位の即位と改名

1390年5月に父が崩御すると、ロバートは王位に就いたが、彼の庶子としての過去が問題視され、戴冠式は3ヶ月後の8月まで行われなかった。また、即位に際して、彼は洗礼名のジョンからロバートに改名した。この変更は、ジョン・ベイリャルという悪名高い王の影響を避け、強い王権を示すための策略だったと言われている。

実権を握る弟

ロバート3世は政治的には名目上の君主に過ぎなかったが、彼は一応王国の権力を分散させようとして努力した。1398年には長男デイヴィッドにスコットランド初の公爵位であるロスシー公を授け、また弟ロバートにはオールバニ公の地位を与えた。しかし、この人事はデイヴィッドの問題行動によって困難を極め、最終的には家族の間に不和が生じる。彼はデイヴィッドを逮捕し、その後デイヴィッドは謎の死を遂げることとなる。

息子の悲劇

1402年、ロバート3世は次男のジェームズをフランスに逃がそうと試みたが、その道中で捕らえられてしまう。彼自身も徐々に体調を崩し、失意の中で生涯を終える。2人の息子を失ったことは彼にとって心痛の極みであり、父としての悲しみが彼の健康にも良くない影響を与えたと考えられている。

最期とその後

1406年4月4日、ロバート3世はエアシャーのダンドナルド城で亡くなる。彼の死後、埋葬はスコットランド王の伝統的な場であるスクーンではなく、ペイズリーで行われた。王座は空位のままジェームズによる即位が予告され、オールバニ公ロバートが摂政とされることとなった。

家族と子孫

ロバート3世は1367年にアナベラ・ドラモンドと結婚し、彼女との間に7人の子供が生まれた。デイヴィッドはロスシー公として、またジェームズは後にスコットランド王として名を馳せる存在となった。こうした家族の物語は、スコットランド王室の複雑な歴史の一部を形成している。

ロバート3世の治世は、数々の悲劇と名義上の権力闘争で彩られ、政治的実権を持つ家族との意見の相違が彼の王としての成功を困難にした。彼の死はスコットランドの歴史において重要な転換点となっている。

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