ロビン・モーガン

ロビン・モーガン（Robin Morgan、1941年1月29日 - ）は、アメリカ合衆国の作家、詩人、フェミニズム理論家・活動家として知られています。彼女は、第二波フェミニズムの重要な人物であり、その思想と行動は、現代のフェミニズム運動にも大きな影響を与え続けています。

子役からフェミニズム活動家へ

モーガンは、幼少期から子役として活躍し、ラジオ番組やテレビドラマに出演していました。特に、人気テレビドラマ『ママ』では、「理想的なアメリカンガール」と称されるほどの人気を博しました。しかし、彼女は学業にも励み、コロンビア大学で学士号と修士号を取得後、詩人のケネス・ピッチフォードと結婚し（後に離婚）、一児をもうけました。

1960年代に入ると、モーガンは公民権運動やベトナム反戦運動に参加する中で、フェミニズム運動に関わるようになります。ニューヨーク・ラディカル・ウィメンや、ゲリラ演劇集団W.I.T.C.H（魔女）などの活動を通じて、ラディカル・フェミニズムを牽引しました。W.I.T.C.Hの活動は、ハロウィーンにニューヨーク証券取引所に「呪いをかける」、バレンタインデーにブライダルフェアを「襲撃する」など、視覚的なアピールによってフェミニズム運動への参加を呼びかけました。また、1968年のミス・アメリカ大会への抗議デモは、公的な場における初期の大規模なフェミニズム活動として知られています。

ラディカル・フェミニズムの理論家として

モーガンは、家父長制における女性の植民地化を指摘したケイト・ミレットの議論を踏まえ、女性の身体が男性の「土地」として扱われていることを批判しました。彼女は、ポルノグラフィーを「理論」、レイプを「実践」と捉え、両者が密接に結びついていると主張しました。また、「個人的なことは政治的なこと」というスローガンを掲げ、私的領域における性差別や抑圧を批判し、男性中心の歴史（history）に対抗する女性の歴史（herstory）の創造を提唱しました。

1970年には、『女性同士の連帯は力強い（Sisterhood Is Powerful）』を編集し、女性解放運動の中で書かれたさまざまな文章をまとめたアンソロジーを刊行しました。この本は、女性のオーガズム、売春、ラディカル・レズビアン、黒人女性の状況など、多岐にわたる問題を論じており、第二波フェミニズムの古典として広く読まれています。また、本書の表紙に描かれた拳の意匠は、フェミニズム運動の象徴として広く用いられるようになりました。

グローバルな連帯へ

モーガンは、フェミニズム運動をグローバルな視点から捉え、『女性同士の連帯は国境を越える（Sisterhood Is Global）』を1984年に発表しました。これは、世界70か国の女性の状況に関する記事や論文をまとめたもので、世界規模での女性の連帯を呼びかけました。また、シモーヌ・ド・ボーヴォワールとともに設立した「女性連帯世界機関（Sisterhood Is Global Institute）」は、現在、世界80か国で活動を展開し、女性の権利・地位向上に向けた政策提言や活動を行っています。

その他の活動と晩年

モーガンは、フェミニズム雑誌『ミズ』の編集長を務め、また、2005年にはジェーン・フォンダ、グロリア・スタイネムとともに、メディアにおける女性のプレゼンス強化を目的とする「女性メディア・センター」を設立しました。2010年にパーキンソン病と診断されてからは、パーキンソン病財団（現パーキンソン財団）の活動にも参加し、女性患者のニーズに合った治療やケアの必要性を訴えました。

モーガンのラディカル・フェミニズムやグローバル・フェミニズムは、人種、階級、性的指向などの差異を軽視しているという批判も受けていますが、彼女の業績は、現代のフェミニズム運動に多大な影響を与えていることは間違いありません。

彼女は、「平和と理解のためのワンダーウーマン」賞（1982）、「優れたジャーナリズムのための第一面」賞（1982）、「今年のフェミニスト」賞（1990）など多くの賞を受賞し、国内外の多くの団体で活動しました。

彼女の主な著作には、『女性同士の連帯は力強い』、『女性同士の連帯は国境を越える』、『女性同士の連帯は永遠である』といったアンソロジーのほか、『行き過ぎ ― あるフェミニストの個人史』、『悪魔を愛する者 ― テロリズムとセクシュアリティ』などがあります。

ロビン・モーガンは、その生涯を通じて、女性の解放とエンパワーメントのために戦い続けた、現代フェミニズム運動における重要な人物の一人です。

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