ロビン・ユーバンクス

ロビン・ユーバンクス：スライド・トロンボーンの革新者

ロビン・ユーバンクス（Robin Eubanks, 1955年10月25日 - ）は、アメリカを代表するジャズ・トロンボーン奏者の一人です。特にスライド・トロンボーンの分野で独自の奏法と音楽性を追求し、ジャズのみならずフュージョン音楽にも貢献しています。

音楽一家に生まれて

ユーバンクスは音楽一家に生まれました。ギタリストのケヴィン・ユーバンクスとトランペット奏者のデュアン・ユーバンクスは彼の兄弟です。ジャズ・ピアニストのレイ・ブライアントとベーシストのトミー・ブライアントは彼の叔父にあたります。また、彼の母親、ベラ・ユーバンクスは、著名なピアニストであるケニー・バロンに最初にピアノを教えた人物です。このような環境で育ったことが、彼の音楽人生に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

ジャズ界への登場と活躍

フィラデルフィア芸術大学を卒業後、1980年代初頭にニューヨークのジャズ・シーンに登場しました。スライド・ハンプトン、サン・ラ、スティーヴィー・ワンダーといった大物ミュージシャンとの共演を通じて、その才能を広く知らしめました。アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズやエルヴィン・ジョーンズ・ジャズ・マシーンといった名門バンドで音楽監督やメンバーを務めたことは、彼の音楽家としての実力を証明しています。また、スティーヴ・トゥーレのアルバムへの参加など、サイドマンとしても数多くの作品に参加しています。

バンドリーダーとしての才能

ユーバンクスは、バンドリーダーとしても高い評価を得ています。『ディファレント・パスペクティブズ』『デディケーション』『カーマ』など、数多くのリーダー・アルバムを発表し、自身の音楽性を表現しています。これらのアルバムでは、伝統的なジャズの要素を取り入れつつ、斬新なアレンジや演奏を試み、独自のサウンドを確立しています。

デイヴ・ホランドとの共演

コントラバス奏者デイヴ・ホランドのクインテット、セクステット、オクテット、ビッグバンドで15年間演奏したことは、ユーバンクスの音楽家としてのキャリアにおいて重要な出来事です。ホランドのバンドでは、高度な即興演奏やアンサンブル演奏が求められ、ユーバンクスは自身の演奏技術を磨き上げました。

教育者としての貢献

J・J・ジョンソンの推薦により、オハイオ州のオーバーリン音楽院でジャズ・トロンボーンとジャズ作曲の教授として20年間教鞭をとりました。また、ボストンのニューイングランド音楽院やバークリー音楽大学でも教鞭をとるなど、後進の育成にも力を注いでいます。彼の教え子の中からは、数多くの優秀なジャズ・ミュージシャンが輩出されています。

M-BASEとの関わりと革新的な試み

ユーバンクスは、M-BASE（Macro-Basic Array of Structured Extemporization）と呼ばれる音楽運動の先駆者の一人としても知られています。M-BASEは、ジャズ、ファンク、ヒップホップなどの要素を融合させた新しい音楽スタイルであり、ユーバンクスは自身の音楽に取り入れることで、より多様な表現を追求しています。また、トロンボーンに電子エフェクトを使用するなど、革新的な試みも積極的に行っています。

幅広い活動と評価

『ザ・トゥナイト・ショー』『サタデー・ナイト・ライブ』『グラミー賞』など、多数のテレビ番組やスペシャル番組に出演しています。アメリカ国内外の大学で講師やゲスト・ソリストを務めるなど、幅広い活動を展開しています。『ダウン・ビート』誌と『Jazz Times』誌から、ナンバーワン・トロンボーン奏者に選ばれたこともあり、その実力は高く評価されています。

ロビン・ユーバンクスは、スライド・トロンボーンの可能性を追求し続ける、現代ジャズ界を代表する音楽家の一人です。

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