ロプーチャ級揚陸艦

ロプーチャ級揚陸艦

ロプーチャ級揚陸艦は、ソ連海軍で運用されていた大型の揚陸艦で、その設計は兵員や車両の海岸への迅速な揚陸を目的としています。この艦級は、1975年から1991年までに28隻が就役し、ソ連崩壊後は一部がウクライナ海軍に引き継がれる一方、大多数はロシア海軍に編入されました。

設計概説

ロプーチャ級の設計は、450トンの物資を搭載可能であり、効率的な積み下ろしを実現するために、船首と船尾にそれぞれランプドアが装備されています。これによって、車両や貨物の積み降ろしが容易に行えるようになっています。また、約650平方メートルの広さを持つ車両甲板には、主力戦車や装甲兵員輸送車を搭載することが可能です。

ロプーチャI級とロプーチャII級では、対空兵装に違いがあります。ロプーチャI級は57mmの連装機関砲を2基搭載したのに対し、ロプーチャII級は76mmの単装速射砲1基と30mmの多連装機関砲2基を装備しています。さらに、携行式の地対空ミサイルや、揚陸支援用のロケット弾発射機も搭載されており、戦闘能力は高いものとなっています。

運用と歴史

この艦級の初の実戦は、2008年に勃発した南オセチア紛争であり、ロシア海軍の特殊部隊を搭載した艦がジョージアのポティ港に上陸した事例が挙げられます。2022年にはウクライナ侵攻が始まり、ロプーチャ級揚陸艦もこの紛争に巻き込まれることとなりました。

2022年3月24日、ウクライナ軍のOTR-21ミサイル攻撃によって、停泊中の艦が損傷を受け、タピール級の「サラトフ」が撃沈されるという出来事が発生しました。また、2023年8月4日には、ウクライナの水上ドローンによる攻撃が行われ、「オレネゴルスキー・ゴルニャク」に重大な損傷を与えました。この攻撃に関してイギリス国防省は、艦が「制御不能」な状態にあると評価しました。

さらに、2023年9月には、クリミアのセヴァストポリにある乾ドックで修理中の「ミンスク」がウクライナ軍の攻撃で損傷を受けるなど、ロプーチャ級艦は戦争の影響を強く受けています。12月には、ウクライナの戦闘機が巡航ミサイルを発射し、「ノボチェルカスク」が被害を受ける映像が報じられました。

2024年には、ウクライナ軍の特殊部隊による攻撃が行われ、「ツェーザリ・クニコフ」が撃沈されました。この攻撃では、ロプーチャ級艦が被弾し転覆する様子が確認され、海上での厳しい厳しい状況が明らかになりました。

結論

ロプーチャ級揚陸艦は、その設計上の特長から多くの運用実績を持ち、戦争において重要な役割を果たしてきました。しかし、彼らが直面する脅威や戦場環境は激化しており、今後の運用において様々な課題が予想されます。

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