ロベール＝カブリエ・ド・ラ・サール

ルネ＝ロベール・カヴリエ・シュ・ド・ラ・サール（René-Robert Cavelier, Sieur de La Salle、1643年11月22日 - 1687年3月19日）は、17世紀に活躍したフランス人の探検家です。彼は、北アメリカ大陸の五大湖地域からミシシッピ川流域、そしてメキシコ湾に至る広大な地域を探検し、これらの地域をフランス領として主張しました。

生い立ちと初期の活動

ラ・サールは1643年、フランスのノルマンディー地方ルーアンで生まれました。彼はイエズス会に入り修道士としての道を歩み始めましたが、後に「道徳的な弱さ」を理由にイエズス会を離れました。父親の遺産を使い果たしたラ・サールは、1667年に新大陸ヌーベルフランスへ渡り、先に移住していた兄を訪ねました。これが、彼の探検家としての人生の始まりとなりました。

探検の開始

ラ・サールは、現地のネイティブアメリカンから、ミシシッピ川につながるオハイオ川の存在を教えられました。彼は、この川がカリフォルニア湾に続いていると信じ、西への航路を見つけて中国に到達するという壮大な計画を立てました。1669年、ラ・サールは最初の遠征隊を率いてオハイオ川へと向かい、ケンタッキー州ルイビル付近まで到達しましたが、ミシシッピ川そのものの発見には至りませんでした。

五大湖地域での活動

その後、ラ・サールは毛皮交易に関わるようになり、オンタリオ湖畔にフロンテナック砦を建設しました。この砦は、彼のパトロンであったヌーベルフランス総督ルイ・ド・フロンテナックにちなんで名付けられました。ラ・サールは、フロンテナックの支援を受けて、毛皮交易の特権や砦の建設許可を得るだけでなく、貴族の称号も授与されました。1679年、ラ・サールはナイアガラの滝を探検し、アンリ・デ・トンティらとともにコンティ砦を築き、帆船で五大湖を探検した最初のヨーロッパ人となりました。1680年には、イリノイ川にクレヴクール砦を建設しました。

ミシシッピ川の探検とルイジアナの命名

1682年、ラ・サールはミシシッピ川を下り、現在のメンフィス付近に小さな砦を築きました。そして、同年4月9日、ミシシッピ川の河口に到達しました。彼は、この流域全体をフランス領として主張し、「ルイジアナ」と名付けました。この名称は、当時のフランス国王ルイ14世にちなんだものです。

悲劇的な最期

1684年、ラ・サールは4隻の船と300人の植民者を率いてフランスを出発し、ミシシッピ川河口を目指しましたが、航海は困難を極めました。船は海賊に襲われ、嵐で座礁するなど、次々と失われました。1687年、残った隊員たちの一部によって、現在のテキサス州ナバソタ付近で殺害され、その生涯を閉じました。

ラ・サールの探検は、北アメリカ大陸におけるフランスの影響力を拡大する上で非常に重要な役割を果たしました。彼の功績は、後世に語り継がれ、アメリカ史にその名を刻みました。

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