アンリ・デ・トンティ

アンリ・デ・トンティの生涯

アンリ・デ・トンティは、1649年または1650年にイタリアのガエータ近郊で生まれました。父親は資本家で元ガエータ知事のロレンツォ・デ・トンティであり、弟にはデトロイトの創設者の一人であるアルフォンス・デ・トンティがいます。父ロレンツォは、ナポリのスペイン領総督に対する反乱に関与したため、アンリが生まれた頃にフランスへ亡命しました。

1668年、アンリはフランス陸軍に入隊し、その後フランス海軍に転じました。シチリア戦争では、手榴弾の爆発により片手を失い、義手のフックを手袋で覆って使用していたため、「鉄の手」というあだ名で知られるようになりました。

1678年、アンリは探検家ロベール＝カブリエ・ド・ラ・サールと出会い、その有能さを認められて行動を共にしました。ラ・サールの遠征では、イリノイのクレヴクール砦を任され、その後も重要な役割を担いました。

1682年春には、ラ・サールと共にミシシッピ川の探検に参加しました。彼の手紙や日記は、この探検の貴重な情報源となっています。1683年にラ・サールがフランスへ帰国した後、アンリはイリノイ川沿いのセントルイス砦の指揮を任されました。1686年には、ラ・サールがメキシコ湾からミシシッピ川を遡って戻ってくるという情報を得て、自ら南下して合流を試みましたが、果たせずにメキシコ湾に到達しました。その後、アーカンザス川河口に交易拠点を設け、後のアーカンソーポストとなりました。

1687年、アンリはイギリスとその同盟であるイロコイ族との戦闘に参加しました。1688年にはセントルイス砦に戻り、ラ・サールの探検隊のメンバーからラ・サールの死が隠されていたことを知ります。生存者を探すために遠征隊を派遣し、1689年10月には自ら捜索を開始しました。

1690年春、アンリはレッド川を遡り、テキサス州北東部のカド族の村に到着しましたが、支援を得られず撤退を余儀なくされました。1690年代から1700年代初頭には、資金難に苦しみながらも、ルイジアナ植民地を創設したピエール・ル・モイン・ディベルヴィユと会うためにミシシッピ川を下りました。ルイジアナに到着後、植民事業に参加し、1702年にはチョクトー族とチカソー族の使節に選ばれ、1704年には彼らとの交渉を指揮しました。

1704年8月、アンリは黄熱病にかかり、現在のアラバマ州モービルの近くのオールドモービルで亡くなりました。

アンリ・デ・トンティの功績

アンリ・デ・トンティは、北米大陸の探検と交易に大きく貢献しました。彼は、ラ・サールと共にミシシッピ川を下り、その流域の地理を詳細に記録しました。また、各地に交易拠点を設立し、毛皮交易を促進しました。さらに、先住民との交流にも尽力し、友好関係を築くことに貢献しました。彼の残した記録は、当時の北米大陸の状況を知る上で非常に貴重な資料となっています。

外部リンク

Biography at the Dictionary of Canadian Biography Online
Handbook of Texas: Henri de Tonti

もう一度検索