ロベール2世 (ノルマンディー公)

ロベール2世：波乱に満ちたノルマンディー公の生涯

ロベール2世（1054年頃 - 1134年2月10日）は、ノルマンディー公として知られ、その身長から「短袴公（Courteheuse）」とも呼ばれました。イングランド王ウィリアム1世とマティルドの長男として生まれ、ウィリアム2世、ヘンリー1世の兄にあたります。

生涯：反抗と放浪、そして王位への野望

若い頃から父ウィリアム1世に反抗的で、戦闘中に父を殺しかけたこともありました。度々追放処分を受け、その間、各地を旅したとされています。一説には、トスカーナ女伯マティルデに求婚したとも伝えられています。武人としての能力はそれなりに高かったものの、性格は気まぐれで夢想的であり、統治者としては不向きでした。父ウィリアム1世は、ロベールをノルマンディー公の後継者としましたが、イングランドの後継者は定めませんでした。

1087年にウィリアム1世が亡くなると、弟のウィリアムがイングランド王位を継承しウィリアム2世となりました。ロベールは、ウィリアム2世とイングランド王位を巡って争いますが、最終的に両者が互いの後継者となることで和解します。その後、1096年に第1回十字軍が始まると、ロベールはノルマンディー公領を担保にウィリアム2世から資金を調達し、十字軍に参加しました。南イタリアのノルマン勢と合流し、聖地を目指します。

1100年、十字軍からの帰路、ウィリアム2世が死去したとの知らせを受けます。しかし、ノルマンディーに戻った時には、既に弟のヘンリーがイングランド王位に就いていました。ロベールは王位を主張してイングランドに侵攻しますが、諸侯の支持を得られず、ヘンリー1世の王位を認めざるを得ませんでした。その後も、イングランドの反乱者と組んでヘンリー1世と対抗を続けたため、1105年からヘンリー1世によるノルマンディー侵攻を受け、1106年のタンシュブレーの戦いで敗北し捕らえられました。これによりノルマンディー公位を剥奪され、生涯幽閉されることとなりました。

子女：不遇な子たち

1100年にコンヴェルサーノ伯ゴッフレードの娘シビラと結婚し、一男を儲けました。

ギヨーム・クリトン（1102年 - 1128年）：フランドル伯（ギヨーム1世）。

また、以下の庶子を儲けました。

リシャール（1079年頃 - 1100年5月）：狩猟中に死去
ギヨーム（1079年頃 - 1111年）：リシャールと同母兄弟。聖地へ向かい、トルトーザ領主となる。
娘：アルク伯エリー・ド・サン＝サンスと結婚

まとめ：夢想と挫折の人生

ロベール2世は、勇敢な武人でありながら、気まぐれで夢想的な性格から、統治者としては成功を収めることができませんでした。父との確執、兄弟との王位争い、そして十字軍への参加など、波乱に満ちた生涯を送り、最終的には幽閉されて生涯を終えました。彼の人生は、中世ヨーロッパの権力闘争の激しさと、個人の性格が歴史に与える影響の大きさを物語っています。

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