ロマン・ウンゲルン

ロマン・フォン・ウンゲルン＝シュテルンベルク

ロマン・フョードロヴィチ・フォン・ウンゲルン＝シュテルンベルク（1886年1月10日 - 1921年9月15日）は、ロシア帝国の軍人であり、バルト・ドイツ貴族の男爵でした。彼はロシア内戦中に白軍の指導者として活動し、その生涯は波乱に満ちたものでした。

生い立ちと軍歴

ウンゲルン＝シュテルンベルクは、オーストリアのグラーツで生まれ、その後エストニアのレーヴェリ（現在のタリン）、そしてロシアのペテルブルクへと移り住みました。パヴロフスク軍事学校で教育を受けた後、彼はシベリアに渡り、モンゴル民族やブリヤート人に強い関心を抱くようになりました。この経験は、彼の後の行動に大きな影響を与えたと考えられています。

第一次世界大戦では、ウンゲルン＝シュテルンベルクはガリツィア戦線に従軍し、その勇敢さで知られました。しかし、その一方で、彼の行動は無謀であり、精神的に不安定であるとも評されました。1917年の二月革命後、彼はロシア臨時政府によってグリゴリー・セミョーノフの配下として極東ロシアに派遣されました。十月革命が発生すると、彼は白軍の一員としてソビエト政権に抵抗しました。

外モンゴルでの支配と最期

1920年末、ウンゲルン＝シュテルンベルクは、当時中華民国に占領されていた外モンゴルに侵攻し、中華民国軍を駆逐しました。彼は外モンゴルで支配的な地位を確立しましたが、その支配は非常に苛烈であったため、モンゴル人からの反発を招きました。モンゴル人民党はチョイバルサンらの指導の下、ソビエト赤軍に救援を要請しました。

モンゴル人民党と赤軍の連合軍は、ウンゲルン＝シュテルンベルク率いる白軍を攻撃し、これを撃破しました。ウンゲルン＝シュテルンベルクは1921年に赤軍に捕らえられ、チェーカー（ソビエト連邦の秘密警察）による軍事裁判にかけられました。裁判後、彼はノヴォニコラエフスクで銃殺刑に処されました。逮捕後、レーニンは軍事法廷に「彼の罪状は明らかなはずだから、速やかに銃殺刑にせよ」という電報を送ったとされています。

エピソード

ウンゲルン＝シュテルンベルクの人物像を物語るエピソードとして、シベリア出兵中に日本軍が催した宴席での出来事があります。席上、細野辰雄少将が日本の武士道を熱心に説き、日本軍兵士の勇敢さを賞賛していました。ウンゲルン＝シュテルンベルクはこれを静かに聞いていましたが、突然、「日本の商人はシャツの丈が短すぎたり、ボタンを糊でくっ付けただけの粗悪品を輸出しているが、彼らのような不徳義漢も武士道によって生み出されたものか」と質問しました。この質問に、細野少将はしばらく言葉を失ったと言われています。

このエピソードは、ウンゲルン＝シュテルンベルクが、権威や形式的な美徳よりも、実質的な道徳や倫理を重視する人物であったことを示唆しています。

まとめ

ロマン・フォン・ウンゲルン＝シュテルンベルクは、複雑で矛盾した性格を持つ人物でした。彼は勇敢で大胆な軍人であった一方で、その支配は苛烈であり、多くの人々に恐れられました。彼の生涯は、ロシア革命と内戦という激動の時代を背景に、様々な側面から考察されるべき歴史的なテーマと言えるでしょう。

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