ロマン・ダニーロヴィチ

ロマン・ダニーロヴィチ：動乱の時代を生きた公

ロマン・ダニーロヴィチは、13世紀にガーリチ・ヴォルィーニ公国で活躍した公です。父は、同公国の隆盛に大きく貢献したダニール公。ロマンは、父の四男として生まれ、激動の時代を生きました。

生涯

ロマンは、1230年頃に誕生しました。1252年、父ダニールはハンガリー王ベーラ4世との間で条約を結び、その一環として、ロマンはオーストリア公フリードリヒ2世の姪、ゲルトルートと結婚します。ゲルトルートはオーストリア公位の相続権を有しており、この結婚は、ロマンにオーストリア公国、シュタイアーマルク公国の継承権を与えるものでした。

しかし、オーストリア公位を巡る争いは激化します。ボヘミア王国の王子オタカルが軍勢を率いてオーストリアに駐留し、継承権を主張。最終的に、オーストリア公位はオタカルが継承することとなりました。ロマンはウィーン近くのノイブルクを拠点としていましたが、オタカルの軍勢に包囲され、1253年末にオーストリアを脱出してノヴォグルドクへ逃れました。

1255年、父ダニールがリトアニア大公国へ遠征し、リトアニア領の城を占領。その後、リトアニア大公ミンダウガスの息子ヴァイシュヴィルガスが領有していた都市の領有権を得ました。1258年には、父と共にヤトヴャグ族に対する遠征に参加しています。

しかし、ロマンの人生は悲劇的な結末を迎えます。1258年、ヴァイシュヴィルガスとタウトヴィラスの共謀によって殺害されたという史料が残されています。

妻子

ロマンは、オーストリア公女ゲルトルートと、ヴォルコヴィスク公女エレナ・グレボヴナの2人と結婚しました。エレナとの間の子ミハイルは、ドルツキー家の祖であるという説があります。また、13世紀半ばのスロニム公ヴァシリコを、ロマンの子とする説も存在します。娘のマリヤは、1270年にスラヴォニア総督ヨアキムと結婚しました。

ロマン・ダニーロヴィチは、オーストリア公位を巡る争い、リトアニアとの戦い、ヤトヴャグ族への遠征など、激動の時代を生きました。彼の生涯は、当時の政治情勢や社会状況を色濃く反映しており、歴史を研究する上で貴重な情報源となっています。

参考文献

Галицко-Волынская летопись. Под ред. Н. Ф. Котляра — СПб: «Алетейя», 2005.
Котляр Н. Ф. Даниил, князь Галицкий — СПб: «Алетейя»; Киев: «Птах», 2008.

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