オーストリア公国

オーストリア公国（Herzogtum Österreich）

オーストリア公国は、現在のオーストリア共和国の領域に、かつて存在した神聖ローマ帝国の領邦です。その起源は、オストマルク（東方辺境伯領）に遡ります。南東の辺境に位置しながらも、帝国内で重要な地位を占め、後にハプスブルク家が神聖ローマ皇帝を世襲する基盤となりました。

歴史

バーベンベルク家の時代 (1156年 - 1246年)

1156年、ハインリヒ2世がオーストリア公に任じられ、公国としての歴史が始まります。1186年には、レオポルト5世とシュタイアーマルク公オットカール4世の間でゲオルゲンベルク協定が結ばれました。

プシェミスル家の時代 (1251年 - 1278年)

1251年、バーベンベルク家最後の公フリードリヒ2世が死去すると、ボヘミア王オタカル2世が、バーベンベルク家のマルガレーテと結婚し、オーストリア公位を継承します。しかし、その支配は長くは続きませんでした。

ハプスブルク家の時代 (1278年 - 1453年)

1278年、ローマ王ルドルフ1世がマルヒフェルトの戦いでオタカル2世を破り、オーストリア公国を獲得しました。これにより、ハプスブルク家によるオーストリア統治が始まりました。1335年には、アルブレヒト2世とオットーがケルンテン公国を相続し、勢力を拡大しました。

1359年、ルドルフ4世はオーストリア大公を僭称し、その地位を強化しようと試みます。1363年にはチロル伯領を獲得し、領土を広げました。1379年には、アルブレヒト3世とその弟レオポルト3世の間でノイベルク条約が結ばれ、ハプスブルク家領地が分割されました。1386年、レオポルト3世がゼンパッハの戦いで戦死し、スイスのハプスブルク家旧領を完全に失いました。

1438年、アルブレヒト2世（オーストリア公としてはアルブレヒト5世）がローマ王に即位し、ハプスブルク家による神聖ローマ帝国君主位の世襲が始まりました。1453年、神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世（オーストリア公としてはフリードリヒ5世）がオーストリア大公の称号を正式なものとし、ここにオーストリア大公国が成立しました。

オーストリア公国は、神聖ローマ帝国の南東の要として、その後のハプスブルク帝国の隆盛の礎を築いた重要な領邦でした。

関連項目

オーストリア君主一覧
バーベンベルク家
ツェーリンゲン家
プシェミスル朝
* ハプスブルク家

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