シュタイアーマルク公国

シュタイアーマルク公国：歴史、変遷、そして解体

シュタイアーマルク公国は、現在のオーストリア南部に位置した公国で、ドイツ語ではHerzogtum Steiermark、スロベニア語ではVojvodina Štajerskaと称されました。1806年まで神聖ローマ帝国の領邦であり、その後は1918年までオーストリア＝ハンガリー帝国の構成国として存続しました。

成立とオーストリアとの同君連合

10世紀末にシュタイアーマルク辺境伯領として成立し、1180年に神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世がオタカール家のオットカール4世を公に昇格させました。オットカール4世は後継者を指名できず、1186年のゲオルゲンベルク協定により、オーストリア公レオポルト5世が後継者となり、以降、シュタイアーマルク公国はオーストリア公国と同君連合となりました。

争奪とハプスブルク家の継承

1246年、オーストリア公フリードリヒ2世が戦死しバーベンベルク家が断絶すると、オーストリアとシュタイアーマルクの継承をめぐり争いが勃発しました。一時ハンガリー王ベーラ4世が両公国を支配しましたが、ボヘミア王オタカル2世が奪還。その後、ハプスブルク伯ルドルフ1世がオタカル2世を破り、息子たちを共同統治者としました。これにより、シュタイアーマルク公国はハプスブルク家の所領となりました。

1379年のノイベルク条約でオーストリア公国とシュタイアーマルク公国は分割され、シュタイアーマルク公国、ケルンテン公国、クライン公国といったインナーエスターライヒはレオポルト3世の子孫が支配することになりました。1456年にはツェリェ伯領が編入され、領域が拡大。1457年、フリードリヒ5世（神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世）のもとでオーストリア公国とシュタイアーマルク公国は再び同君連合となりました。

近世

1564年以降、インナーエスターライヒは再びハプスブルク家傍系領として成立しました。宗教改革の時代には、グラーツがその中心地となりましたが、イエズス会によって鎮圧され、1585年にグラーツ大学が設立されました。フェルディナント2世はプロテスタントの聖職者を追放し、天文学者ヨハネス・ケプラーも職を失いました。1619年、フェルディナント2世がハプスブルク家のすべての所領と帝位を継承しました。

当時のインナーエスターライヒは、オスマン帝国の度重なる侵攻に苦しめられ、荒廃と人口減少に見舞われました。ウィーン包囲などの遠征時には徹底的な破壊を受け、住民は殺害や奴隷化の恐怖に怯えていました。

発展

1804年以降、シュタイアーマルク公国はオーストリア帝国の一部となりました。ヨハン大公はシュタイアーマルクの発展に尽力し、ヨアノイム（現グラーツ工科大学）やレオーベン大学を設立。ゼメリング鉄道やオーストリア南部鉄道の開通にも貢献し、シュタイアーマルク経済を大きく発展させました。1867年のアウグスライヒにより、シュタイアーマルク公国はツィスライタニエンに組み込まれましたが、ナショナリズムの台頭とともに、ドイツ人とスロベニア人の対立が深刻化しました。

解体

第一次世界大戦でオーストリア＝ハンガリー帝国が崩壊すると、ドイツ・オーストリア共和国は旧シュタイアーマルク公国の大部分の領有を主張しましたが、スロベニア人はスロベニア人・クロアチア人・セルビア人国に参加しました。1919年のサン＝ジェルマン条約により、旧シュタイアーマルク公国領は民族境界で分割され、オーバーシュタイアーマルクはオーストリアに、シュタイエルスカはセルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国（現在のスロベニア）に併合されました。

このように、シュタイアーマルク公国は、その成立から解体まで、多くの変遷を経て、現在のオーストリアとスロベニアの一部を構成する地域となりました。

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