ロムルス・アウグストゥルス

ロムルス・アウグストゥルス：西ローマ帝国最後の皇帝

ロムルス・アウグストゥルス（460年 - 511年～536年）は、西ローマ帝国の皇帝（在位：475年 - 476年）として歴史に名を残しています。彼の短い治世は、西ローマ帝国の終焉と深く結びついています。

名前について

彼は一般にロムルス・アウグストゥルスとして知られていますが、本来の名前はロムルス・アウグストゥスでした。アウグストゥルスは「小さなアウグストゥス」という意味の愛称です。興味深いことに、彼の名前はローマ建国の祖であるロムルスと、初代皇帝アウグストゥスの名を組み合わせており、歴史の皮肉を感じさせます。

即位と退位

475年10月31日、ロムルスは父フラウィウス・オレステスによって西ローマ皇帝に擁立されました。しかし、その治世は長くは続きませんでした。476年9月4日、ゲルマン人の将軍オドアケルによって退位させられてしまいます。オドアケルはロムルスを廃位した後、東ローマ皇帝ゼノンに西ローマ皇帝の地位を返上し、自らはイタリアの領主として、ゼノンの代理としてイタリアを統治しました。

この出来事は、一般的に西ローマ帝国の滅亡とされています。しかし、実際にはそれ以前から西ローマ皇帝の権威は失墜しており、実権はゲルマン人将軍たちが握っていました。そのため、ロムルスの退位を帝国の滅亡と結びつけるのは、歴史的観点からは不正確であるという指摘もあります。

退位後の人生

退位後、ロムルスは比較的穏やかな余生を送りました。若年であったため、オドアケルは彼の命を奪うことはありませんでした。父オレステスはオドアケルに殺害されましたが、ロムルス自身は家族と共にカンパーニャに送られ、恩給を受けながら生活しました。オドアケルが敗れた後も、新たな権力者であるテオドリック大王から引き続き恩給を受けました。カンパーニャでは修道院を建設するなど、文化的な貢献も行っています。

ロムルスの血筋

ロムルスにはバルバラという娘がおり、彼女の血筋はその後も長く続いています。バルバラはルフィウス・マグヌス・ファウストゥス・アウィエヌスと結婚し、アウィエナをもうけました。アウィエナの血筋は、ローマ皇帝や東ローマ帝国の皇族に繋がっており、歴史のロマンを感じさせます。

ロムルス・アウグストゥルスに関する議論

現代においても、「ロムルスを正当なローマ皇帝とみなすべきか」という議論がなされることがあります。これは、「ローマ皇帝」という概念自体が後世の歴史家によって作られたものであり、明確な定義が存在しないためです。元老院の承認を得た者が正統な皇帝とされることもありましたが、歴史の勝者によって正統性は左右されるため、一概には言えません。また、東ローマ帝国と西ローマ帝国では、皇帝の認識にずれが生じることもありました。このような背景から、ロムルスの皇帝としての正統性は、今も議論の余地が残されています。

ロムルス・アウグストゥルスは、西ローマ帝国の終焉という激動の時代を生きた人物です。彼の短い治世と退位後の人生は、西ローマ帝国の盛衰を象徴する出来事として、歴史に深く刻まれています。

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