ロランド・ロメロ

ロランド・ロメロとは

ロランド・ロメロは、1995年10月14日にアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスで生まれたプロボクサーです。攻撃的で個性的なスタイルを持ち、ファンからは「Rolly（ローリー）」の愛称で親しまれています。ライト級、スーパーライト級、ウェルター級の3階級で世界王座を獲得しており、地元ラスベガス出身の世界王者としても歴史に名を刻んでいます。プロキャリアは19戦17勝（13KO）2敗という高いKO率を記録しています。

プロデビューとライト級での道のり

ロメロのプロとしての第一歩は2016年12月2日でした。デビュー戦を初回TKOという鮮烈な勝利で飾り、その後も順調にキャリアを重ねていきます。

ライト級での最初の大きな転機は2020年8月15日。コネチカット州で行われたWBA世界ライト級暫定王座決定戦で、ジャクソン・マリネスと対戦しました。この試合は判定までもつれ込み、ロメロが3-0で勝利を収め、暫定ながら世界王座を獲得。イシュー・スミス以来となる、ラスベガス出身の世界王者誕生となりました。しかし、試合内容と判定結果には議論が巻き起こり、マリネス陣営は不満を表明。WBAはダイレクトリマッチを指令する事態となりました。

暫定王者として迎えた初防衛戦への道のりは波乱に満ちたものでした。2021年1月にはジャスティン・パウルドとの対戦が予定されていましたが、パウルドが前日計量で大幅な体重超過を犯し失格。急遽対戦相手がエイブリー・スパロウに変更され、ノンタイトル戦として行われました。この試合でロメロは7回TKO勝ちを収めます。さらに2021年7月17日に行われたアンソニー・イギットとの暫定王座防衛戦でも、イギットが計量で体重超過。イギットが勝利しても王座は移動しないという変則ルールでの試合となりましたが、ここでもロメロは7回TKOで勝利し、暫定王座の初防衛に成功しました。対戦相手の連続計量失格という異例の事態を乗り越えての防衛劇でした。

2021年8月には、WBAが暫定王座制度の廃止を決定。ロメロは暫定王者としての地位を失いましたが、指名挑戦権が付与されました。

その後、ライト級の主要選手であるジャーボンテイ・デービスとの対戦が浮上しますが、2021年11月、ロメロに対する複数の女性からの性的暴行被害の告発があり、試合を欠場することになります。しかし、警察による捜査の結果、2022年1月11日には嫌疑が晴れました。

嫌疑が晴れた後、改めてジャーボンテイ・デービスとのWBA世界ライト級レギュラー王座戦が組まれました。2022年5月28日、ニューヨークのバークレイズ・センターで行われたこの試合は、両者の個性的なキャラクターも相まって大きな注目を集めました。しかし、試合はデービスの巧みな攻撃の前にロメロが苦戦。6回に痛烈なTKO負けを喫し、プロキャリア初の黒星を記録。正規王座獲得はなりませんでした。この試合の終了後には、会場内で発生した大きな音を銃声と誤解した観客がパニックになり、会場から一斉に逃げ出すという予期せぬ出来事も発生しました。

スーパーライト級での挑戦

デービス戦での敗北後、ロメロはスーパーライト級へと階級を上げます。新たな階級での最初の大きなチャンスは2023年5月13日、ラスベガスで行われたWBA世界スーパーライト級王座決定戦でした。相手は同級1位のイスマエル・バローゾ。この試合でロメロは3回にダウンを奪われる苦しい展開となりますが、9回に逆転のTKO勝利を収め、2階級制覇を達成しました。しかし、試合内容は再び物議を醸すことになります。8回までのスコアでバローゾが優勢だった状況にもかかわらず、レフェリーが早すぎる、あるいは有効なパンチが当たっていないにもかかわらず試合をストップしたとして、その判断に大きな批判が集まりました。

スーパーライト級王者となったロメロには、オハラ・デービスとの指名防衛戦が義務付けられます。しかし、2023年6月にはロメロが負傷を理由に試合入札の延期を申し入れました。WBAはロメロから提出された負傷に関する書類を審査した結果、その負傷を認め、2023年9月21日付でロメロを「休養王者」に認定する措置を取りました。そして、オハラ・デービスとイスマエル・バローゾの間で行われる暫定王座決定戦の勝者と、翌年3月20日までに統一戦を行うよう指令しました。

2024年3月30日、ラスベガスで行われたビッグマッチの前座として、ロメロは休養王者としてWBA世界スーパーライト級1位のイサック・クルスと対戦しました。しかし、この試合でもクルスの猛攻に耐えきれず、8回にTKO負けを喫し、王座（休養王座扱いだったが事実上の王座陥落）から陥落しました。

王座を失ったロメロですが、再びリングに立ちます。2024年9月14日には、スーパーライト級でマヌエル・ハイメスとのWBAインターコンチネンタル王座決定戦に臨み、10回判定勝ちで地域王座を獲得しました。

ウェルター級での3階級制覇

そして、3階級目となるウェルター級での挑戦が訪れます。2025年4月22日、WBA世界ウェルター級正規王者のジャロン・エニスがスーパー王者に認定されたことにより、予定されていたロメロ対ライアン・ガルシア戦がノンタイトル戦からWBA世界ウェルター級レギュラー王座決定戦へと変更されました。

2025年5月2日、ニューヨークのタイムズスクエアに設けられた特設リングで行われたライアン・ガルシアとのレギュラー王座決定戦は、SNKとザ・リング共催、ゲーム『餓狼伝説 City of the Wolves』とのタイアップという異色の興行のメインイベントとなりました。この注目の一戦でロメロは2回にガルシアからダウンを奪うなど優位に進め、12回判定勝ちを収めWBA世界ウェルター級レギュラー王座を獲得。見事に3階級制覇を達成しました。

まとめ

ロランド・ロメロは、その強打と予測不能なファイトスタイル、そしてリング内外での言動で常に話題の中心となるボクサーです。キャリアの中で、暫定王座の獲得・防衛、正規王座への挑戦と敗北、2階級制覇達成とその試合を巡る論争、休養王座認定からの陥落、そしてウェルター級での3階級制覇と、波瀾万丈な道のりを歩んできました。プロ戦績は19戦17勝（13KO）2敗。獲得した主なタイトルはWBA世界ライト級暫定王座、WBA世界スーパーライト級王座（休養王座認定）、WBA世界ウェルター級レギュラー王座です。今後のロメロのキャリアがどのように展開していくのか、引き続き注目が集まります。

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