ロルフ・クラーケ (装甲艦)

ロルフ・クラーケ：デンマーク海軍初の装甲砲塔艦

ロルフ・クラーケは、19世紀にデンマーク海軍が建造した革新的な装甲砲塔艦であり、ヨーロッパにおける同種の艦艇の先駆けとなりました。デンマークの伝説的な王の名を冠したこの艦は、当時の国際情勢と海軍技術の進展を反映した存在でした。

建造の背景

1860年代初頭、デンマークはプロイセンとの間で緊張が高まっており、自国の沿岸水域での作戦に適した装甲艦を必要としていました。1862年のハンプトン・ローズ海戦での装甲艦の活躍を受け、デンマーク政府は「モニター」型の艦艇の導入を決定。イギリスとアメリカに調査団を派遣し、複数の設計案を検討した結果、最終的にイギリスのネイピア＆サンズ社の設計が採用されました。ただし、砲塔については、より装甲の厚いアメリカ製モニターの前装砲用砲塔が採用されることになりました。

艦艇の概要

ロルフ・クラーケは、1862年12月に起工され、1863年5月に進水、同年7月にデンマーク海軍に引き渡されました。全長57.7m、幅11.6m、排水量1330トンの鉄製船体を有し、2層構造となっていました。当初は3本マストのスクーナーとして帆装も備えていましたが、後に主檣は撤去されました。

武装

主砲は、アームストロング製の60ポンド前装滑腔砲4門を連装砲塔2基に搭載していました。1867年と1878年には、前装施条砲への換装が行われ、1889年には前部にクルップ製6インチ後装砲が搭載されました。副武装も時代と共に更新され、最終的にはホチキス37mm5連装回転砲なども搭載されました。

機関と装甲

機関は、700馬力の蒸気機関1基と角缶4基を搭載し、一軸推進で最大10.5ノットの速力を発揮しました。装甲は錬鉄製で、水線装甲帯は76mmから114mm、砲塔は114mmから178mm、司令塔は229mmの厚さでした。

第二次シュレスヴィヒ＝ホルシュタイン戦争

ロルフ・クラーケは、1864年の第二次シュレスヴィヒ＝ホルシュタイン戦争で実戦に参加しました。フレンスボー湾でのプロイセン軍への砲撃や、アルス島からの撤退支援などで活躍。敵の攻撃を何度も受けましたが、その装甲により大きな損害を受けることはありませんでした。

その後

1893年には新式砲の実験艦となり、1906年に除籍されました。その後、オランダの会社に売却され、解体されました。

ロルフ・クラーケは、その革新的な設計と実戦での活躍により、デンマーク海軍史における重要な艦艇として記憶されています。また、ヨーロッパにおける装甲砲塔艦の発展に大きな影響を与えた存在として、その名を知られています。

もう一度検索