ロング・ハロー

ロング・ハロー (The Long Hello)

イギリスを拠点とするインストゥルメンタル・プロジェクト、ロング・ハローは、名高いプログレッシヴ・ロック・バンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター（VDGG）の主要メンバーのうち、シンガーソングライターのピーター・ハミルを除く面々によって形作られました。この名称は、特定の固定バンドではなく、その作品群全体、または各時期のプロジェクト自体を指し示します。特筆すべきは、参加ミュージシャンや音楽スタイルが作品ごとに大きく変化する、その流動的な性格にあります。

プロジェクトの歩み

ロング・ハローの歴史は、VDGGが一時的に活動を停止していた時期に始まります。1973年、ドラマーのガイ・エヴァンスが中心となり、サックス/フルート奏者のデヴィッド・ジャクソン、キーボード奏者のヒュー・バントン、ベーシストのニック・ポッターといったVDGGの同僚に加え、ギタリストのチェッド・カーティス、ピエロ・メッシーナらと共にファースト・アルバム『The Long Hello』を録音しました。これが「ロング・ハロー」の名を冠した最初の作品となります。

以降、「ロング・ハロー」は特定のリーダーやコンセプトのもと、VDGG関連メンバーのソロプロジェクトや共同制作の受け皿のような存在として機能していきます。1980年には、ニック・ポッターとガイ・エヴァンスが中心となり、セカンド・アルバム『The Long Hello Volume Two』を制作。このアルバムには「永礼再版」という漢字がジャケットにあしらわれ、「ロング・ハローの2枚目のアルバム」であることを示唆していました。

続いて、1979年から1981年にかけてはデヴィッド・ジャクソンの主導によりサード・アルバム『The Long Hello Volume Three』が、1981年から1982年にかけては再びガイ・エヴァンスを中心としたプロジェクトとして4枚目のアルバム『The Long Hello Volume Four』が録音・発表されました。

これらの「Volume」シリーズとは別に、1984年から1985年にはデヴィッド・ジャクソン、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスの三者名義で『Gentlemen Prefer Blues』というアルバムが制作されました。この作品は、もともとファースト・アルバム『The Long Hello』制作時に手掛けられたものの未完成だった素材を完成させるという、特別な目的を持っていました。このため、『Gentlemen Prefer Blues』は実質的に「The Long Hello Volume Five」と見なされることもあります。

メンバーの変遷

前述の通り、ロング・ハローは固定メンバーのバンドではなく、各作品で中心となる人物や参加者が異なります。初期の中心メンバーはガイ・エヴァンス、デヴィッド・ジャクソン、ヒュー・バントン、ニック・ポッターといったVDGGメンバーですが、彼らを取り巻くミュージシャンは多岐にわたります。

特にサード・アルバム『Volume Three』では、デヴィッド・ジャクソンを中心に、ガイ・エヴァンスやニック・グラハムの他、異例ながらピーター・ハミル自身がオルガン・ソロで参加したほか、デイヴ・アンダーソン、ジャッコ・M・ジャクジクなど多数のゲストが名を連ねています。

その後の『Volume Four』や『Gentlemen Prefer Blues』でも、VDGGの核メンバーが中心となりつつも、それぞれの作品のコンセプトに応じて様々なミュージシャンが協力し、プロジェクトの多様性を形作りました。

ディスコグラフィ

主要なアルバムは以下の通りです。

The Long Hello (1974年) - 第1期メンバーによる
The Long Hello Volume Two (1981年) - Nic Potter & Guy Evans名義
※後に1991年のライブ音源などを追加収録した復刻盤も存在する
The Long Hello Volume Three (1982年) - David Jackson名義
The Long Hello Volume Four (1983年) - Guy Evans With Life Of Riley & David Jackson名義
※後にアウトテイクやライブ音源などを追加収録した復刻盤も存在する
* Jackson/Banton/Evans : Gentlemen Prefer Blues (1986年)

ロング・ハローは、VDGG本体の活動とは異なる形で、メンバーがそれぞれの音楽的アイデアを探求し、多様なインストゥルメンタル作品を生み出した興味深いプロジェクト群と言えるでしょう。

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