ロンドン山中商会

ロンドン山中商会の概要

ロンドン山中商会（Yamanaka & Co., London）は、1900年に設立された美術商山中商会のイギリス支店であり、戦前の美術市場において重要な役割を担いました。本社は大阪に位置し、ロンドンにおける美術品の販売拠点として機能しました。特に、陶磁器や東洋美術品の取り扱いにおいて、その名声を博しました。

設立の背景と移転

山中商会は、アメリカのニューヨークやボストンに既に店舗を構えていましたが、イギリス市場への進出を試みました。1900年、山中六三郎がロンドンへ派遣され、ニュー・ボンド・ストリートに支店を開くことに成功します。その後、1910年に店舗を127番地に移転しました。このような移転は、より良い市場アクセスを求めるものでした。

1919年には、ジョージ5世からロイヤル・ワラントを受ける栄誉を賜りました。これにより、ロンドン山中商会は公式な認定を受け、名実ともにイギリスでの存在感を高めます。さらに1933年にはピカデリーエリア、1936年にはデイヴィス・ストリートに移転し、その都度繁忙な商業地区に店舗を構え続けました。

アート展との関わり

1935年にはロイヤル・アカデミー・オブ・アーツにて開催された「中国展」において、日本の美術品を出展するための全ての業務を担当しました。これにより、宮内省や帝室博物館、さらには京都帝国大学などから多くの展示品が集まることとなりました。この活動は、ロンドン山中商会の美術商としての評価をさらに高める結果となります。

戦争の影響と閉店

しかし、1939年に突如として訪れたナチス・ドイツの侵攻によって情勢が一変しました。同年9月、支店長の井上久四郎は緊急措置として、店員たちを日本に帰国させる決定を下しました。1940年6月には、パリ陥落の知らせを受けて日本人の撤退を促しましたが、大阪本社から留まる指示を受けます。同年9月7日、ロンドン大空襲が始まり、井上は最終的に同年11月に店舗を閉店することになります。

ロンドン山中商会は、1941年1月に横浜港に帰国し、その歴史に幕を閉じました。支店が閉店に至るまで、彼らは多くの美術品を取り扱い、東洋美術を西洋に広める重要な役割を果たしました。

支店長たち

ロンドン山中商会においては、数代の支店長が存在しました。初代の山中六三郎を始め、冨田熊作や岡田友次、大川季一、そして井上久四郎がその歴史を築いていきました。また、退避後の店舗はルビー・フォードによって支援されるなど、厳しい状況下でも運営が試みられていたことが伺えます。

結論

ロンドン山中商会は、イギリスと日本の文化交流に寄与した歴史的な美術商業の一つです。その活動は、戦争や歴史の変遷に翻弄されるも、東洋美術品の重要な販路を築いたことは間違いありません。

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