ロンバルディア帯

ロンバルディア帯：初期ロマネスク建築を飾る装飾

ロンバルディア帯（ロンバルド帯、ロンバルディア装飾とも呼ばれる）は、初期ロマネスク建築において壁面を飾るために用いられた独特の装飾様式です。その起源は11世紀頃のイタリア、ロンバルディア地方に遡るとされ、この地域で活躍した建築家たちが考案したと考えられています。

ロンバルディア帯の特徴

ロンバルディア帯は、浅いブラインド・アーチ列（ブラインド・アーケード）によって構成されるのが特徴です。壁面にわずかな凹凸を付けることで表現され、そのシンプルながらも洗練されたデザインが、建築物に独特のリズム感と装飾性をもたらします。窓や開口部のように、完全に壁を貫通しているわけではなく、あくまで壁面に沿った装飾であることがポイントです。

ヨーロッパ各地への伝播

ロンバルディア帯は、その発祥の地であるイタリアからヨーロッパ各地へと広まり、各地のロマネスク建築に取り入れられました。以下に、その具体的な例をいくつか紹介します。

スペイン: 特にイタリアに近いカタルーニャ地方（カルドナ、リポイなど）をはじめ、遠く離れたガリシア地方でもロンバルディア帯の使用が確認されています。
ドイツ: シュパイアーなどの都市で見ることができます。
フランス: トゥールニュなどが挙げられます。

これらの例からもわかるように、ロンバルディア帯はヨーロッパ各地のロマネスク建築において、重要な装飾要素として広く用いられていたことがわかります。

小人ギャラリーへの進化

12世紀に入ると、ロンバルディア帯はさらに進化し、「小人ギャラリー」と呼ばれる、より複雑で装飾的な要素へと発展しました。小人ギャラリーは、ロンバルディア帯のアーチ列がより細かく、より立体的に表現されたもので、ピサの斜塔やパルマ大聖堂などに見ることができます。小人ギャラリーは、建築物にさらなる装飾性と複雑さを与え、ロマネスク建築の表現力を高める役割を果たしました。

まとめ

ロンバルディア帯は、初期ロマネスク建築において重要な装飾要素であり、その起源は11世紀のイタリアに遡ります。浅いブラインド・アーチ列によって構成され、ヨーロッパ各地のロマネスク建築に広く用いられました。12世紀には小人ギャラリーへと進化し、建築物にさらなる装飾性を与えました。ロンバルディア帯は、ロマネスク建築の歴史と発展を理解する上で、欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

参考画像

[画像: ロンバルディア帯の例1]
[画像: ロンバルディア帯の例2]
[画像: ロンバルディア帯の例3]
[画像: ロンバルディア帯の例4]
[画像: ロンバルディア帯の例5]
[画像: ロンバルディア帯の例6]
[画像: ロンバルディア帯の例7]

参考文献

池田健二『カラー版 イタリア・ロマネスクへの旅』2009年。ISBN 978-4-12-101994-3。
池田健二『カラー版 スペイン・ロマネスクへの旅』2011年。ISBN 978-4-12-102102-1。
辻本敬子／ダーリング常田益代『ロマネスクの教会堂』2003年。ISBN 4-309-76027-9。

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