ローガンエアー670A便不時着水事故

ローガンエアー670A便不時着水事故の真相

2001年2月27日、スコットランドで発生したローガンエアー670A便の悲劇的な事故は、航空業界に深刻な教訓を残しました。エディンバラ空港を飛び立った直後の貨物便が、エンジントラブルによりフォース湾に不時着水し、乗員2名全員が犠牲となりました。

事故の概要

ローガンエアー670A便は、エディンバラ空港からベルファスト国際空港へ向かう予定でした。使用機材はショート360-100型機（G-BNMT）。離陸直後、高度2,200フィート付近で両エンジンが停止するという異常事態が発生しました。機長は空港への帰還を試みましたが、間に合わず、フォース湾に不時着水を余儀なくされました。機体は水深6mの海底に沈み、乗員2名は救出されませんでした。

事故機の詳細

事故機のショート360-100は1987年製造で、プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6A-67Rエンジンを2基搭載していました。貨物機への改修により座席は撤去され、事故当時は1,360kgの燃料と1,040kgの貨物を積載していました。ローガンエアーはブリティッシュ・エアウェイズとのフランチャイズ契約に基づき運航しており、機体もブリティッシュ・エアウェイズの塗装が施されていました。

乗員の状況

機長は58歳のベテランパイロットで、総飛行時間13,569時間、ショート360での飛行時間も972時間でした。元イギリス空軍のパイロットで、退役後は北海でのヘリコプター操縦を経てローガンエアーに入社。飛行教官の資格も有していました。副操縦士は29歳の男性で、総飛行時間438時間、ショート360での飛行時間は72時間と経験は浅く、ローガンエアー入社から日が浅い状況でした。

事故発生の経緯

事故機は当初、悪天候による遅延のため、別の便に割り当てられていました。右エンジンの始動に手間取るトラブルがありましたが、エンジニアの支援により何とか離陸許可を得ました。しかし、離陸後間もなく、両エンジンが同時に停止するという深刻な事態に見舞われました。

不時着水の状況

エンジン停止後、機長は直ちに空港への帰還を試みましたが、降下率が高く、空港への到達は困難と判断。不時着水を決断しました。管制官への連絡も途絶える中、機体はフォース湾の河口に激しく着水。機首が海底に突き刺さり、乗員は脱出不可能となりました。

事故調査の結果

航空事故調査局（AAIB）の調査により、エンジン停止時に機体に損傷はなかったことが判明しました。パイロットの誤操作によるエンジン停止の可能性も否定されました。調査の結果、事故原因は、降雪時の不適切な駐機と除氷作業にあると結論付けられました。

着雪によるエンジントラブル

事故当時、降雪が予想される状況下で、エンジンの吸気口にカバーがされていませんでした。マニュアルに反して繰り返し行われた除氷作業により、雪がエンジン内部に侵入。エンジン始動後、雪が溶けて吸気口内部に入り込み、再凍結しました。副操縦士が防氷装置を作動させた際、再凍結した物体が吸気経路を妨げ、両エンジンが同時に停止したと考えられています。

生存の可能性

事故当時の海の状況は荒れており、機体を安全に不時着させることは非常に困難でした。救助隊の到着も遅れ、水温の低さから、乗員が生存できる可能性は極めて低いと判断されました。脱出ハッチの使用に関する訓練も不十分で、水没後ではハッチを開けること自体が困難であったと考えられます。

事故の教訓

ローガンエアー670A便の事故は、航空業界における安全管理の重要性を改めて認識させる出来事となりました。特に、悪天候下での駐機、除氷作業の手順、乗員の訓練など、様々な側面における改善の必要性が浮き彫りになりました。この事故を教訓に、航空業界全体で安全対策を徹底し、二度とこのような悲劇が繰り返されないように努める必要があります。

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