プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6

プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6概要

プラット・アンド・ホイットニー・カナダが製造するPT6エンジンは、航空機用ターボプロップエンジンの中でも特に広く使用されており、その信頼性の高さから多くの航空機に搭載されています。このエンジンの設計は1956年に始まり、現在も進化を続けています。一般に、PT6の平均故障間隔（MTBF）は9,000時間を超えるため、多くの航空機運用者に選ばれています。特にアメリカ軍では「T74」または「T101」として知られています。主な派生型であるPT6Aは580shpから920shpの出力を持ち、最も高出力なもので1,940shpを実現しています。さらにPT6BとPT6Cはヘリコプター用のターボシャフトエンジンとして設計されています。

設計と開発の経緯

PT6の開発は、1956年に社長ロナルド・ライリーが高出力エンジンの需要を見越して始まります。彼は技術主任のディック・ガスリーに、従来のレシプロエンジンの代わりにターボプロップエンジンを開発することを指示しました。当時、プラット・アンド・ホイットニーのワスプ星型エンジンは安定していたため、新たな挑戦となりました。

開発チームはオタワのカナダ国家研究評議会やオンタリオのオレンダ・エンジンズから技術者を集め、1958年に450hpのターボプロップ開発を開始しました。1960年にはエンジン運転が成功し、1961年にはデ・ハビランド・カナダのビーチ18を用いて初の飛行試験が実施されました。量産は1963年から始まり、翌年から実際の運用が始まります。2001年にはPT6の40周年を記念し、これまでに36,000基以上が出荷されたことが祝われました。

エンジンの構造

PT6はガス発生器とパワータービンを分離した設計を採用し、自動車のトルクコンバータのような構造になっています。これによりエンジンの始動が容易となり、寒冷気候下でもスムーズに始動可能です。エンジンは2つの区画に分かれており、整備がしやすくなっています。ガス発生器への空気の流入は側面フィルタを通じて行われ、小中型機では3段、大型機では4段の軸流式圧縮機が使われています。

燃焼後のガスは出力区画に流れ込み、出力タービンを駆動します。この結果、エンジンの出力軸は約30,000rpmを達成し、ターボプロップ用に必要な回転数に減速されます。排気はタービン側面の排気口から排出され、エンジン全体の長さが短くなるように設計されています。

航空機への搭載実績

PT6エンジンは多種多様な航空機に搭載され、様々なモデルが存在します。代表的な機体にはC-47ATP、アグスタA119コアラ、ロッキードXH-51などが含まれます。またPT6の派生型として、ヘリコプター用のPT6B、PT6Cなどもあり、用途に応じた性能を発揮しています。特にPT6Tボーイングエンジンは、2基のPT6エンジンを統合して出力を高めています。

仕様諸元

PT6A-6は、ターボプロップ形式で全長62インチ、直径19インチ、乾燥重量270ポンドを持ちます。出力は578hpとなり、燃料消費率は0.67 lb/hp/hrで抑えられています。このエンジンは、航空用ケロシンやJP-4、JP-5といった燃料を使用し、圧縮比は6.3:1と高い効率を誇っています。

まとめ

プラット・アンド・ホイットニー・カナダのPT6は、優れた性能と信頼性を兼ね備えたターボプロップエンジンであり、航空業界における重要な存在として長年にわたって利用されています。多様な派生型により、さまざまな用途に応じたエンジンが提供されており、多くの航空機に搭載されているのです。

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