ローソクもらい

ローソクもらいの行事

「ローソクもらい」は、北海道において、毎年七夕である7月7日または、月遅れの8月7日に行われる伝統的な行事です。この行事は特に富良野市、室蘭市、根室市や函館市周辺で盛んに行われます。子供たちは浴衣を着て提灯を持ち、近所を訪れて歌を歌い、ローソクやお菓子を求めます。この光景はハロウィンのような風情があります。

歴史と習慣の起源

この習慣は安政2年（1855年）に書かれた『函館風俗書』にも見受けられ、子供たちがガク灯籠を持ち寄り、笛や太鼓を鳴らしていたことが記されています。当時はローソクを集めていたわけではありませんが、灯籠を持って歩く文化があったことは、現在のローソクもらいの原型と考えられます。

現代のローソクもらい

近年のローソクもらいは、地域によって様々に変化してきました。子供たちは缶灯籠や提灯を持って近隣の家々を訪れ、伝統の囃し歌を歌いながらローソクやお菓子を貰い歩きます。しかし、治安の悪化や地域コミュニティの変化により、一部の地域ではもはや行われないこともあります。例えば、マグライトやLEDライトを使用することで安全性を高め、行動範囲を自宅周辺に制限する場合も見られます。加えて、日が沈む前の明るい時間に行う地域も増加しています。

歌と地域性

ローソクもらいの際に歌われる囃し歌は地域ごとに異なります。例えば、ニシン漁が盛んな漁師町では「今年豊年七夕まつり」と歌い始めることが多く、商業が栄えた小樽では「商売繁盛」といった歌詞が加わるなど、地域の特性が反映されています。また、歌詞が短縮され、より直接的な表現が好まれる傾向にもあります。

函館の変化

函館では、歌詞の変化が見られ、特定の伝統的な歌詞が消滅し、より新しい表現が広まったとされています。たとえば、「ローソクけなきゃ」は小学校の指導によって使われなくなり、その代わりに「大いに祝おう」という歌が広まりました。これらの変化は、時代の変化に伴い、安全性の観点から火を使わない傾向が強まったことも影響しています。

他地域との関連

ローソクもらいの行事は青森県のねぶた祭りとも関連が指摘されています。津軽地域では、ねぶたの照明にローソクが使用されていたため、似たような習慣が生まれたと考えられています。このように、北海道のローソクもらいは、他の地域の伝統行事と関連しながら発展してきたことがわかります。

まとめ

「ローソクもらい」は、はるか昔から続く北海道の子供たちの文化であり、地域の特性や時代の変化を反映した行事です。現代においても、多くの地域で行われるこの習慣は、子供たちにとっての楽しみであり、地域社会の結びつきを強める大事な行事となっています。北海道の独自の文化を理解し、楽しむ機会として、ローソクもらいは今後も続いていくことでしょう。

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