灯籠

灯籠（とうろう）についての詳細

灯籠は、東アジアにおいて広く用いられている伝統的な照明器具の一つであり、日本、中国、朝鮮半島、ベトナムなどに見られます。元々「灯籠」という名前は、「灯」（あかり）と「籠」（かご）の組み合わせから生まれました。火が外部の風や雨に消されないように、木枠や紙で囲う構造をしています。日本の文化においては、特に寺院や神社など、宗教的な場所で多く使用されてきました。

名称の多様性

「灯」の旧字体は「燈」であり、「籠」の異体字は「篭」です。そのため、燈籠や灯篭といった多様な漢字表記が使われています。本記事では、「灯籠」という表記に統一します。

概要

日本における灯籠は、奈良時代に仏教の影響を受けて広まったと言われています。当初は寺院の庭など屋外に設置されることが多かったですが、時代が進むにつれて室内用の行灯や提灯といった別の形態も発展しました。現代では、灯籠の光源として油やろうそくに加え、電気やプロパンガスなども使用されています。

灯籠の役割

灯籠は宗教的な意義を持つため、寺院や神社において大変重要な役割を果たします。

寺院における使用

寺院では灯籠が仏像に清浄な灯りを献じるために設置されます。古代の寺院では、中央の軸線上に灯籠が配置されるのが通例であり、この位置が非対称の伽藍には見られません。平安時代には、さらに多くの灯籠が作られ、信仰の象徴としての役割が強調されていきました。

神社における使用

神社では灯籠は「みあかし」や献灯用として使用されます。その種類は多岐にわたり、木灯籠や金灯籠、石灯籠、釣灯籠などがあります。また、神葬祭や夜間の神事の際には陰灯（かげとう）という特殊な灯籠が用いられ、明かりを隠して行事を行うこともあります。

日本庭園における使用

日本庭園においては、灯籠は風景を引き立てる美術的な装飾品としても重要です。明るく照らされる景観は、訪れる人々に安らぎと美しさを提供します。

石灯籠の構造

各部の名称

灯籠は複数の部位から成り立っています：

• - 宝珠：笠の頂上にある玉ねぎ状の装飾。
• - 笠：火袋の上にかぶさる部分で、形状は六角形または四角形が一般的。
• - 火袋：灯火の入る部分で、灯籠の主役です。
• - 中台：火袋を支える基礎部分。
• - 竿：灯籠の柱部分で、形は円筒状から八角形まで多様。
• - 基礎：灯籠の最下部にあたる部分で、安定性を保つ役割があります。

代表的な種類

灯籠には多くの種類がありますが、特に有名なものには以下があります：

• - 春日型：実用性が高く、寺社でよく見かけるスタイル。
• - 雪見型：水面を照らすために設計され、低い高さだが大きな笠を持つ。
• - 岬型：灯台を模したデザイン。

特殊な灯籠

さらに、日本一高い灯籠として知られる「吾妻屋風燈籠」は、京都にあり、高さは約13メートルです。この他、紙や竹製の灯籠も存在し、様々な場面で使用されています。

灯籠は、ただの光源ではなく、文化や宗教、そして日本の美意識を象徴する重要なアイテムとして存在し続けています。

もう一度検索