ロータス・エリート

ロータス・エリート

概要

エリート（Elite）はイギリスの名門自動車メーカー、ロータスが手掛けたスポーツカーです。この車は、初代と2代目が製造され、それぞれ1957年から1963年、そして1974年から1982年までの期間に登場しました。異なる時代に登場したこの2モデルですが、デザインや性能においては直接の関連性がありません。

初代エリート（1957年-1963年）

初代モデルは開発コードネームLarもの顔であるロータス14として知られ、1957年のロンドンショーで発表されました。全てがFRP（強化プラスチック）製のモノコックボディを持つこの自動車は、ロータスの初のGTカーであり、創業者コーリン・チャップマンのビジョンを反映しています。モダンなデザインを施したこの車は、当時の技術を駆使した高性能なコヴェントリー・クライマックスFWEエンジンを搭載していました。これにより優れた動力性能とロータス独特の操縦性を誇り、ル・マン24時間レースで6回のクラス優勝を成し遂げる等、レースシーンでも輝かしい戦歴を持っています。

初代エリートの優れた操縦体験は、独自の4輪独立サスペンションによるものです。特に、後輪にはコーリン・チャップマンが考案したチャップマン・ストラットが採用されており、他の競合車にはない低く抑えられたロールセンターが実現しました。この設計は優れた操縦安定性をもたらし、操縦性の急激な変化が少なく、安定したトラクションを提供しました。しかし、設計上の難点や生産の品質問題が発生し、最終的に累計998台という生産台数で1963年に生産を終了しました。実際、当時のオーナーには本田宗一郎氏親子などにも愛され、所有車の一つとして名を馳せました。

2代目エリート（1974年-1982年）

2代目エリートは1974年に登場し、ロータス初のフル4シーターモデルという位置づけでした。設計の特徴は、ボクスホール製の907エンジンを搭載し、ボディにはFRPを使用していました。これにより従来のスポーツパフォーマンスは維持しつつも、高級感を漂わせるデザインが施されています。

このモデルはオプションとしてパワーステアリングやエアコンを搭載することが可能で、快適性と実用性を向上させました。特に、背後にリヤウィンドウを配置したシューティングブレイクスタイルは、他のスポーツカーとは一線を画す特徴です。また、安全性にも配慮されており、衝突時の安全性向上を目的とした構造が評価され、ドン・セーフティ・トロフィーを受賞しました。

1980年代には、排気量が増加するなどの改良が施されましたが、製造品質の問題は依然解決されず、これがブランドイメージに傷をつける要因となりました。日本市場にも導入されましたが、あまり人気は得られなかったようです。

結論

エリートは、ロータスの自動車作りの歴史において特異な存在であり、特に操縦性に優れた受け継がれたバランスが魅力です。現在でも一部のモデルが高値で取引されており、スポーツカー愛好家の間では一貫して高い人気を誇っています。エリートの血筋を引くモデルが今後も登場することを期待したいです。

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