ローデンバッハ (マイン＝キンツィヒ郡)

ローデンバッハ：歴史と自然が調和するドイツの美しい村

ローデンバッハは、ドイツ連邦共和国ヘッセン州マイン＝キンツィヒ郡に位置する魅力的な町村です。フランクフルト・アム・マインから東へ約20km、フォアシュペッサルト地方の緑豊かな森に抱かれ、その大部分がヘッセン・シュペッサルト自然公園の一部となっています。ローデンバッハは、ニーダーローデンバッハとオーバーローデンバッハという2つの地区から成り立っており、それぞれが独特の歴史と文化を育んできました。

地理と自然

ローデンバッハは、その名の由来ともなったローデンバッハ川（下流ではラヒェ川と呼ばれる）沿いに広がっています。この川は、町南西部のブーラウの森を流れ、キンツィヒ川へと注ぎます。キンツィヒ川はローデンバッハの北を流れ、ハーナウ方面へと続いています。豊かな自然に恵まれたローデンバッハは、周辺の市町村とも隣接しており、北はランゲンゼルボルト、北東はハッセルロート、東はフライゲリヒト、南はアルツェナウおよびカール・アム・マイン、西はハーナウ、北西はエルレンゼーと境を接しています。

歴史的な魅力

ニーダーローデンバッハ

人口約8,700人のニーダーローデンバッハの中心部には、17世紀から18世紀にかけて建てられた美しい木組み建築が数多く残っています。特に注目すべきは、1763年から1765年にかけて建造されたプロテスタント教会です。幾何学的な平面と高いボンネット型屋根を持つ教会塔、そしてヒルデ・フェルバーによるステンドグラスは、訪れる人々を魅了します。教会の隣には郷土博物館と町立図書館があり、地域の歴史や文化に触れることができます。郷土博物館は、1717年に町長ドルのために建てられた建物を利用しており、その後、学校や住居として使用されました。また、1737年から1738年に建造された旧町役場（現在は空き家）からは、ローデンバッハの19の史跡を巡る周遊路がスタートします。

オーバーローデンバッハ

人口約2,400人のオーバーローデンバッハでは、1836年から1837年にかけて建造されたカトリックの教区教会である聖ペテロ＝パウロ教会や、18世紀に祀られた4体の農村らしい路傍のキリスト十字架像が見どころです。これらのキリスト像は、4つの方位を示し、同時にキリストのモチーフによって「正しい」人生の方向を示唆しています。

ローデンバッハの歴史

ローデンバッハの成立時期は明確ではありませんが、町域からは石器時代や青銅器時代の集落跡が発見されており、古くから人々が暮らしていたことがわかります。集落の名前は、「小川沿いの開墾地」を意味する「Rodung am Bach」に由来すると考えられています。1025年の文献には、「Rudunbach」という名前でローデンバッハが登場します。この記録には、貴族のRuoggerが、ゾンボルン、ローデンバッハ、ゼーリゲンシュタットの所領と、フルダ修道院の所領を交換したことが記されています。

13世紀には、ローデンバッハに関する記述が再び現れ始め、14世紀にはその数が増加します。1222年の裁判記録には、「Rodinbachの男たち」がマインツのシュテファン修道院とハーナウの森の土地を巡って争ったことが記録されています。また、1241年の記録には、ローデンバッハの礼拝堂について初めて言及されています。1337年には、大天使ミカエルに教会を献堂することを許可した聖ミヒャエル教会に対する許可証の断片が見つかっています。

14世紀から15世紀にかけての文献には、オーバーローデンバッハにマインツのペテロ修道院の土地が記録されており、ニーダーローデンバッハはハーナウ伯の勢力下にあったことが示されています。1338年のランゲンディーバッハ教区教会の収益簿には、「Item in Rodenbach inferiori VI denar」という記述があり、ニーダーローデンバッハとオーバーローデンバッハが区別されていたことがわかります。

1493年には大火が発生し、多くの人命が失われました。犠牲者の中には、3人のユダヤ人男性と7人のユダヤ人女性が含まれていました。このことは、ハーナウ伯が埋葬に関してフランクフルトのユダヤ人コミュニティーに質問した書状から判明しました。15世紀末から国家社会主義の時代に至るまで、ローデンバッハにはユダヤ人社会が存在していました。

宗教改革と教育

1527年、ニーダーローデンバッハの牧師ミヒャエル・ヴァインブレンナーが招聘され、宗教改革が推進されました。1540年頃には、ローデンバッハで学校教育が始まっていたという証拠が見つかっています。1600年頃には、最初の学校が存在していたことが証明されています。

16世紀から17世紀への変わり目には、ニーダーローデンバッハとオーバーローデンバッハとの間で宗教的な分離が起こりました。オーバーローデンバッハの教会組織は、グロースクロッツェンブルク教区に移管され、ニーダーローデンバッハでは、プロテスタント系住民の中で宗教的な分裂が進行しました。

現代のローデンバッハ

1970年のヘッセン州の地域再編に伴い、ニーダーローデンバッハとオーバーローデンバッハは合併し、ローデンバッハとなりました。2000年には、最初に記録が遺されている1025年から数えて975周年を祝いました。

現代のローデンバッハは、良く整備されたインフラストラクチャを備えており、学校や幼稚園、病院、薬局、商店などが充実しています。また、多くのクラブやサークル、協会が住民に多彩な余暇の過ごし方を提供しています。特に、近代的な図書館やスポーツ施設は、住民の生活を豊かにしています。ブーフベルク塔からは、マイン＝キンツィヒ郡やハーナウ、フランクフルト・アム・マイン、タウヌス山地に至る素晴らしい景色を眺めることができます。

ローデンバッハは、歴史と自然が調和した、魅力的な村です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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