ローハン・デニス

ローハン・デニス：栄光と悲劇の自転車競技人生

ローハン・デニス（Rohan Dennis、1990年5月28日 - ）は、オーストラリアのアデレード出身の元自転車競技選手です。ロードレースとトラックレースの両方で才能を発揮し、特に個人タイムトライアルでは世界トップクラスの実力を誇りました。この記事では、彼の輝かしいキャリアと、引退後に起きた悲劇的な事件について詳しく解説します。

経歴

デニスは、2012年にオーストラリア選手権U23でロードレースと個人タイムトライアルの二冠を達成し、その才能を開花させました。同年のツアー・ダウンアンダーでは、UniSAオーストラリアチームの一員として山岳賞と新人賞を獲得し、注目を集めます。

2013年には、ガーミン・シャープに移籍。クリテリウム・デュ・ドフィネ第4ステージで区間2位に入り、マイヨジョーヌを獲得しました。2014年には、ツアー・オブ・カリフォルニア第3ステージで勝利し、山岳での強さも見せつけました。同年8月には、シーズン途中でBMC・レーシングチームに移籍しています。

2015年は、デニスにとって飛躍の年となりました。ツアー・ダウンアンダー第3ステージで山岳を制し、UCIワールドツアー区間初優勝を飾ると、そのまま総合ジャージを守りきり、総合優勝も達成しました。さらに、2月9日には、スイスのグレンヘンにあるヴェロドロームでアワーレコードに挑戦し、52.491kmの新記録（当時）を樹立しました。ツール・ド・フランス2015では、第1ステージの個人タイムトライアルを制覇し、グランツールでの勝利を手にしました。

2018年には、ジロ・デ・イタリア第16ステージとブエルタ・ア・エスパーニャ第1ステージの個人タイムトライアルで優勝し、全てのグランツールで個人タイムトライアル優勝を果たした初の非ヨーロッパ人選手となりました。

2019年、バーレーン・メリダに移籍しましたが、9月13日付けで契約解除となります。世界選手権の個人タイムトライアルでは、BMCの黒塗りされたTM01を使用し、2連覇を達成しました。その後、NTTプロ・サイクリングへの移籍も噂されましたが、最終的にはチーム・イネオスと2年契約を結びました。

2023年2月、自身のSNSで現役引退を表明し、プロサイクリストとしてのキャリアに幕を下ろしました。

私生活と悲劇

2018年に、1歳年下の女性サイクリストであるメリッサ・ホスキンスと結婚し、2人の子供をもうけました。しかし、2023年12月30日の夜、アデレードでピックアップトラックを運転中に妻のメリッサを轢いてしまい、逮捕されました。メリッサは翌朝、悲劇的な死を遂げました。

主な戦績

デニスの主な戦績は以下の通りです。

2015年：ツアー・ダウンアンダー 総合優勝
2015年：ツール・ド・フランス 区間優勝（第1ステージ個人タイムトライアル）
2018年：ジロ・デ・イタリア 区間優勝（第16ステージ個人タイムトライアル）
2018年：ブエルタ・ア・エスパーニャ 区間優勝（第1ステージ個人タイムトライアル）
2018年、2019年：世界選手権 個人タイムトライアル 優勝
2021年：東京オリンピック 個人タイムトライアル 銅メダル

まとめ

ローハン・デニスは、その圧倒的な才能で自転車競技界に名を刻みましたが、引退後には悲劇的な事件に見舞われました。彼のキャリアは、栄光と悲劇が入り混じった、忘れがたいものとして記憶されるでしょう。

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