ローマのパンクラティウス

聖パンクラティウス

聖パンクラティウス（英語: Pancras of Rome）は、生没年不詳の4世紀の殉教者であり、正教会、カトリック教会、聖公会で聖人とされています。聖パンクラス、聖パンクラーツィオとも呼ばれます。

概説

パンクラティウスは、14歳で殉教した少年殉教者として知られています。生没年は明らかではありませんが、ディオクレティアヌス帝の治世下、ローマで殉教したと伝えられています。聖人伝によれば、彼はプリュギア人であったとされていますが、両親は元々ローマ人であったとも言われています。彼は「氷の三聖人」の一人であり、中世においては十四救難聖人の一人として崇敬されていました。

パンクラティウスは、中欧を中心に人気を集めていますが、イングランドにも彼に捧げられた古教会が6つ存在します。そのうちの一つ、ロンドン北部の教会からは、墓地と駅の名前が名付けられています。聖人伝に基づき、彼は宣誓の守護者、偽誓の懲罰者とされています。彼自身の名を冠する名義教会の他、サセックスのルイスにあるクリュニー会修道院の守護聖人でもあります。記念日は5月12日です。パンクラティウスに関する伝承は殉教後に作られたものであり、歴史的な信頼性は確立されていません。

聖人伝

パンクラティウスは、貴族の両親の元に生まれました。両親がプリュギアで亡くなった後、叔父であるディオニュシオスに保護され、ローマへ移住しました。ローマへ移住後まもなく、教皇コルネリウスによってキリスト教徒となりました。ディオニュシオスの死後、パンクラティウスはキリスト教徒であったために捕えられました。ディオクレティアヌス帝は、年若い貴族の少年を憐れみ、棄教するよう説得しましたが、パンクラティウスは逆に非キリスト教の神々を批判しました。その結果、彼はアウレリウス街道で首を刎ねられ、殉教しました。彼の遺体は、元老院議員の妻であったオクタウィラによって埋葬されました。

パンクラティウスの墓所で偽誓をしようとした男が、墓所の格子戸に辿り着く前に倒れて死んだという逸話や、墓所に手を当てて偽誓した男の手が離れなくなり、そのまま死んだという伝承も残っています。

崇敬

パンクラティウスへの崇敬は5世紀頃に始まりました。聖人伝にも言及されている、彼が埋葬された場所にはサン・パンクラーツィオ教会（バシリカ）が建てられています。この場所には古くから聖堂が建てられていましたが、500年頃に教皇シンマクスがバシリカに建て替え、後に教皇ホノリウス1世が改築したと伝えられています。この教会は16世紀以降、多くの巡礼者を集めました。パンクラティウスの聖遺物は、この聖堂だけでなく、サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂やサン・クレメンテ教会の他、ドイツやフランスなど中欧各地の教会で保管されています。

絵画や彫刻

パンクラティウスは、通常、トゥニカに毛皮のマントを羽織った姿や、剣と棕櫚の枝を持った騎士の姿で描かれています。

ギャラリー

以下に、聖パンクラティウスを描いた絵画や彫刻の例をいくつか示します。

[聖パンクラティウスの画像1]
[聖パンクラティウスの画像2]
[聖パンクラティウスの画像3]
[聖パンクラティウスの画像4]
[聖パンクラティウスの画像5]
[聖パンクラティウスの画像6]

脚注

注釈

[ここに注釈があれば記述]

出典

[ここに参考文献があれば記述]

参考資料

David Farmer (2011). The Oxford Dictionary of Saints, Fifth Edition Revised (Oxford Quick Reference). Oxford University Press. ISBN 978-0199596607
ヤコブス・デ・ウォラギネ、前田 敬作（訳）、山口 裕（訳）、2006、『黄金伝説2』、平凡社〈平凡社ライブラリー〉 ISBN 978-4582765786
“Sts. Nereus and Achilleus, Domitilla and Pancratius”. Catholic Encyclopedia. New Advent. 2016年1月30日閲覧。
“Lives of all saints commemorated on May 12”. Lives of all saints. Orthodox Church in America. 2016年1月30日閲覧。

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