サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂

サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂：ローマの信仰の中心

サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂（San Giovanni in Laterano）は、イタリアのローマに位置するカトリック[[教会]]の重要な大聖堂です。ラテラン教会、ラテラン大聖堂とも呼ばれ、隣接するラテラノ宮殿と共に、長い歴史と深い信仰を象徴する場所となっています。この大聖堂は、ローマの四大バシリカの一つとして数えられ、サン・ピエトロ大聖堂、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂と並び、カトリック[[教会]]において特別な地位を占めています。また、サン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂を加えて五大バシリカと呼ぶこともあります。

ラテラノ大聖堂は、バチカンの領域外に位置していますが、ラテラノ条約によってバチカンに特別な権利が認められています。この大聖堂は、その長い歴史を通じて、多くの変遷と修復を経験してきました。

古代から中世へ

古代において、ラテラノ大聖堂は「救世主大聖堂」と呼ばれ、ローマにおける教会の最上位に位置づけられていました。ローマ司教としての教皇の司教座聖堂（カテドラル）であることから、「全カトリック[[教会]]の司教座聖堂」「すべての教会の母」とも称されています。その起源は、古代ローマ時代のラテラヌス家の邸宅に遡ります。

ラテラヌス家は、ローマ帝国の有力な一族で、執政官を輩出していました。しかし、一族のプラティウス・ラテラヌスが皇帝ネロに対する反乱の疑いで処刑され、邸宅は没収されました。その後、コンスタンティヌス帝がこの邸宅をファウスタの住居として使用し、「ドムス・ファウスタ」（ファウスタの家）と呼ばれました。後にコンスタンティヌス帝は、この邸宅をキリスト教徒に譲り、教皇ミルティアデスの時代に教会会議が開かれました。この教会会議で、ドナティスト論争の決着が図られ、事効論が採用されました。

その後、ラテラノ家の邸宅は教皇の住居となり、ラテラノ宮殿と呼ばれるようになりました。邸宅内のバシリカは聖堂に転用され、拡張されて教皇の司教座聖堂となりました。正式な献堂式は324年に教皇シルウェステル1世によって行われ、世界の母なる聖堂として、その栄誉を称えられました。10世紀には洗礼者ヨハネに、12世紀には福音記者ヨハネに再奉献され、二人のヨハネを記念する聖堂として崇敬を集めました。

アヴィニョン捕囚と修復

ミルティアデス以降の教皇たちはラテラノ宮殿で生活していましたが、14世紀に教皇庁がアヴィニョンに移されたことで、ラテラノ大聖堂と宮殿は荒廃しました。二度の火災に見舞われ、修復資金が送金されたものの、かつての威容を取り戻すことはありませんでした。

教皇庁がローマに戻った後も、ラテラノ大聖堂と宮殿は荒廃したままでした。教皇は一時的にサンタ・マリア大聖堂に住み、その後、サン・ピエトロ大聖堂の隣に教皇宮殿が建てられました。16世紀に教皇シクストゥス5世がラテラノ大聖堂と宮殿の修復に着手し、建築家ドメニコ・フォンターナに修復事業を任せました。この修復によって、ラテラノ大聖堂とラテラノ宮殿は切り離されました。ラテラノ宮殿は、現在は教皇庁立博物館として、古代キリスト教関係の展示品を収集しています。

17世紀には、教皇インノケンティウス10世がフランチェスコ・ボッロミーニに聖堂内部の装飾を依頼し、18世紀にはクレメンス12世がアレッサンドロ・ガリレイの案を採用し、現在の印象的なファサードが完成しました。ただし、このファサードの設置によって、バジリカ時代の面影は失われました。大聖堂前の広場には、エジプトから運ばれたオベリスクがそびえ立っています。また、大聖堂に隣接する八角形の洗礼堂は、コンスタンティヌス帝が洗礼を受けたという伝承が残る場所として尊重されています。

聖なる階段スカラ・サンタ

サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂の敷地内には、イエス・キリストが裁判の日に上ったとされる28段の階段が移設された礼拝堂があります。この階段は、コンスタンティヌス帝の母ヘレナがエルサレムから持ち帰ったとされています。敬虔な信者たちは、ひざまずいてこの階段を上り、祈りを捧げます。階段を上った先には、教皇のプライベート祈祷室であるサンクタ・サンクトルムがあります。

歴史的意義

ラテラノ宮殿は、ラテラン公会議の舞台ともなりました。また、1929年には、ラテラノ条約が締結されました。この条約は、ラテラノ大聖堂とラテラノ宮殿の名称に由来しています。

ラテラノ大聖堂は、数々の修復と改築を経て、古代の建築物の痕跡を残す貴重な建造物であり、1980年に世界遺産に登録されました。この大聖堂は、その歴史的、宗教的な重要性から、カトリック[[教会]]における最も重要な聖堂の一つとして、今日でも世界中の人々に崇敬されています。

献堂記念日

カトリック[[教会]]では、11月9日を献堂記念日として祝います。ラテラン教会は「すべての教会の母」とされるため、その献堂記念日は、全世界のカトリック[[教会]]で祝われます。11月9日が主日（日曜日）と重なった場合でも、優先して祝われます。

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