ローマクラブ

ローマクラブ：地球の未来を憂うシンクタンク

ローマクラブは、1968年に設立された民間のシンクタンクであり、スイスのヴィンタートゥールに本部を置いています。その活動は、地球規模の課題に対する深い憂慮と、持続可能な未来への強い願いに基づいています。

発足の背景

イタリアの実業家アウレリオ・ペッチェイは、人口の幾何級数的な増加と資源の直線的な増加のアンバランスに危機感を抱き、スコットランド人科学者アレキサンダー・キングと共に、この問題に取り組むための組織を設立しました。彼らは、資源、人口、軍備拡張、経済、環境破壊といった「人類の根源的問題」に対処するため、各国の政治家、科学者、知識人を集め、1968年4月にローマで最初の会合を開きました。これが「ローマクラブ」という名称の由来です。

「成長の限界」とその影響

1972年に発表されたローマクラブの最初の報告書「成長の限界」は、世界的な注目を集めました。この報告書は、人口増加と資源消費が現在のまま続けば、100年以内に地球の成長が限界に達すると警告しました。この警鐘は、世界中に環境問題への意識を高め、持続可能な開発の概念を広めるきっかけとなりました。

組織と運営

ローマクラブは、約100名の正会員を中心に構成されています。会員は、総会で選出された執行委員会によって運営され、会長もその中から選ばれます。本部は、ローマからパリ、ハンブルクを経て、現在はヴィンタートゥールに置かれています。また、各国に支部があり、日本支部は2019年に正式に設立されました。

主要メンバー

ローマクラブには、各国の著名な人物が参加しています。初代会長のアウレリオ・ペッチェイをはじめ、アレキサンダー・キング、リッカード・ディエ・ライトナーなどが会長を務めました。また、ミハイル・ゴルバチョフ、ワンガリ・マータイ、リヒャルト・フォン・ワイツゼッカーなど、政治、環境、平和の分野で活躍した人物も名を連ねています。

日本人メンバーとしては、大来佐武郎、小林宏治といった草創期のメンバーに加え、林良嗣（現日本支部長）、小宮山宏、野中ともよ、黒田玲子、沖大幹などが正会員として活動しています。また、松浦晃一郎、茅陽一などが名誉会員として名を連ねています。

日本支部の活動

ローマクラブ日本支部は、2019年に設立され、地球規模の課題に対する日本の貢献を目指して活動しています。事務局は東海学園大学名古屋キャンパスに置かれ、林良嗣支部長を中心に、講演会やシンポジウムなどを開催しています。

ローマクラブの提言とその影響

「成長の限界」以降も、ローマクラブは様々な提言を行ってきました。「ファクター4」では、経済的豊かさを2倍にしつつ、資源消費を半減させることを提案し、「ファクター5」では、QOL（生活の質）の向上と資源消費の削減を両立させるための具体的な方法を示しました。これらの提言は、持続可能な社会の実現に向けた議論を深め、政策立案にも影響を与えています。

50周年記念レポート

2017年には、「Come On!目を覚まそう! -環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか?」が出版されました。これは、「成長の限界」から半世紀を経て、地球が直面する新たな課題を包括的に分析したものであり、ローマクラブの50周年を記念する重要な報告書です。

ローマクラブは、その設立以来、地球規模の課題に対する警鐘を鳴らし続け、持続可能な未来への道筋を示してきました。その活動は、今後もますます重要性を増していくでしょう。

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