ローマ進軍

ローマ進軍とは

ローマ進軍（伊: Marcia su Roma）は、1922年の10月にイタリアで発生した重要な歴史的出来事であり、ベニート・ムッソリーニのファシスト党とその民兵組織である黒シャツ隊によって引き起こされたクーデターを指します。この事件は、政権を奪うための直接行動を目的としていましたが、最終的にはほぼ無血の形で成功を収めました。

背景

ムッソリーニが率いるファシスト党は、イタリアの政治家としての地位を確立しようとしていましたが、彼の計画にはさまざまな障害がありました。具体的には、軍部からの抵抗や党内の情報伝達の不備が影響し、いくつかの計画は失敗に終わりました。結局、国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世がムッソリーニに組閣を命じたことで、ローマ進軍は無血クーデターとして完了することになりました。

進行の経緯

1922年10月24日、ファシスト党のナポリにおける党大会で、黒シャツ隊が集結し、ローマ進軍の命令が出されました。彼らは首都に向かう準備を整え、一方で軍の一部は密かに彼らを支援する姿勢を見せました。ルイージ・ファクタ内閣は、武力で反乱部隊を制圧しようとしたものの、国王の意向によって戒厳令が発布されることはありませんでした。そのため、ファクタは辞任を余儀なくされました。

進軍免れることのできたムッソリーニは、もはや自らの失敗に備えてスイスへの亡命の準備を進めていたと言われています。しかし、10月29日には黒シャツ隊が無血でローマに入城し、同日、国王から組閣の命令が下されたことで、ムッソリーニは新たな政権を獲得しました。

ローマ進軍の影響

ローマ進軍の成功は、ファシストの台頭を象徴するものであり、以後のヨーロッパ諸国においても模倣される事例が多く見られました。1923年11月には、アドルフ・ヒトラーが国民社会主義ドイツ労働者党を率いてミュンヘン一揆を試みましたが、こちらは早期に鎮圧され、ヒトラーは逮捕されました。

また、1926年5月にはポーランドでユゼフ・ピウスツキが権威主義的な軍事クーデター「五月革命」を起こしました。このクーデターもローマ進軍を参考にしたものとされ、激しい市街戦を経てピウスツキ側が勝利を収めました。このように、ローマ進軍は各国のファシズム団体による政権奪取の手本となり、多くの国で似たような動きが見られるようになるのです。

しかし、これら模倣の多くは未遂に終わるか、計画段階で摘発されることが一般的でした。このことが示す通り、ローマ進軍はただのクーデター以上の意味を持ち、当時そしてその後の政治に対しても影響を及ぼし続けました。

結論

ローマ進軍は、イタリアの政治史において特筆すべき事件であり、政治的な権力の移行に関する重要なケースとなりました。その影響は、他国のファシスト運動やクーデター事件に見ることができ、20世紀の歴史を考える上で欠かすことのできないトピックとなっています。

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