ローム＝ファン・ロエイエン協定

ローム＝ファン・ロエイエン協定とは

ローム＝ファン・ロエイエン協定（Perjanjian Roem-Roijen）は、1949年5月7日、インドネシア共和派とオランダとの間に締結された協定であり、両者の代表者であるモハマド・ロームとヤン・ヘルマン・ファン・ロエイエンにちなんで名付けられています。この協定は、デン・ハーグで開催されるオランダ・インドネシア円卓会議に向けての前提条件を整えることを目的としていました。

背景

1945年のインドネシア独立宣言以降、オランダはカラス作戦という名の「警察活動」を展開し、共和派が支配する地域の奪還を試みました。この作戦により、オランダは軍事的には成功したものの、国際社会からの非難を受ける結果となります。1948年12月31日、国連の休戦要求に応じたオランダは、アメリカの圧力も受けながら、インドネシア側と交渉を開始することに同意しました。

1949年1月、国連安全保障理事会は、オランダに対しインドネシア人指導者の解放と主権移譲を求める決議を可決しました。これにより、オランダはインドネシア共和派との事前の協議が必要であることを認めざるを得なくなりました。

議論と合意

協議は1949年4月14日に始まりましたが、オランダ側のリーダーであるファン・ロエイエンが強硬な立場を取り、進展に至りませんでした。インドネシア側のモハマド・ロームは、まずジョクジャカルタに戻る必要があると主張し、交渉が難航しました。アメリカ合衆国が介入し、インドネシア側に妥協を促した結果、最終的には5月7日に合意に達しました。

合意の主な内容は次の通りです。
1. インドネシア軍は全てのゲリラ活動を停止する。
2. インドネシア共和国政府は円卓会議への出席に同意する。
3. ジョクジャカルタにインドネシア共和国政府を再建する。
4. オランダ軍は全ての軍事行動を停止し、1948年12月17日以降に捕らえた捕虜を全て解放する。
5. オランダは、今後設けられるインドネシア合衆国の領域内に新たに連邦国家を設けない。

この合意によって、互いに譲歩の道筋が整い、特にオランダにとっては重要な結果をもたらしました。

合意後の展開

協定の締結後、オランダは捕虜の解放を開始しましたが、5月10日以降に捕まえた者は犯罪者として扱われ、解放の対象外とされました。6月18日のオランダ軍の攻撃を受けて、インドネシア共和国臨時政府は軍事行動の停止を命じ、6月30日にはオランダ軍がジョクジャカルタから撤退しました。

7月6日、スカルノとハッタの指導者が首都に戻り、政府の運営が再開されました。その後、インドネシア共和派は、オランダの支配地域に設けられた代表者会議を通じて、インドネシア連邦共和国の結成に向けた協議を進めました。この連邦の主権移譲は、1949年8月23日から11月2日にかけての円卓会議で合意されました。

この協定は、インドネシアの独立運動において重要な役割を果たし、国際社会におけるインドネシアの地位を確立する上でも大きな意味を持つものでした。

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