インドネシア独立宣言

インドネシア独立宣言

インドネシア独立宣言は、1945年8月17日にスカルノがハッタの立ち会いのもと、中央ジャカルタの自宅で読み上げた、インドネシアの独立を宣言する歴史的な出来事です。この宣言は、インドネシアが独立国家として歩み始める第一歩となりました。

独立宣言の背景

独立宣言の草案は、大日本帝国軍政下で設置された独立準備調査会で起草され、独立準備委員会で採択されました。第二次世界大戦終結直後の混乱期、インドネシアの独立への熱意が結実した瞬間でした。

独立宣言の内容

宣言は、インドネシア国民が長きにわたり待ち望んだ独立を正式に表明するものでした。しかし、この宣言はすぐに国際的に承認されたわけではなく、その後、インドネシアは独立を維持するための長い闘いを強いられることになります。

独立闘争

独立宣言後、インドネシアはオランダの再植民地化の試みに直面しました。4年間にわたる独立闘争は、オランダとの戦いだけでなく、国内の連邦主義者や共産主義者との対立も含む複雑なものでした。オランダは1947年と1948年に大規模な軍事行動を起こしましたが、国際連合の介入により1949年11月にハーグ円卓会議が開催され、ハーグ協定が締結されました。これにより、インドネシア連邦共和国が誕生しましたが、スカルノらは連邦制を「分割統治」の産物とみなし、1950年8月には連邦制を廃止し、インドネシアを単一共和国へと転換させました。

西イリアン問題

旧オランダ領東インドの完全独立という目標は、西ニューギニア（西イリアン）が依然としてオランダの主権下に置かれていたため、完全には達成されませんでした。西イリアンがインドネシアに併合されたのは1969年7月のことです。

独立記念日

現在、8月17日はインドネシア独立記念日として祝われ、国民的な祝日となっています。

独立宣言を巡るエピソード

独立宣言前夜、終戦翌日の8月16日には、日本海軍武官の前田精少将がスカルノとハッタを自らの公邸に迎え、独立宣言に関する重要な会議が行われました。この会議には50人ほどが出席し、翌17日未明まで続きました。

また、独立準備委員会の会合について、後にインドネシア共和国初代外務大臣となるスバルジョは、「一人の勇敢な日本海軍少将の家での、忘れることのできない夜の会合は終わった」と自著で回想しています。

前田精少将は、インドネシア独立への貢献が認められ、1976年に建国功労章を授与されました。前田の公邸は現在、「独立宣言起草博物館」として一般公開されています。

独立宣言の日付に使われた「05年」は、日本の「皇紀2605年」を指します。皇紀の使用には、日本軍政の影響やアジア・ナショナリズムといった複数の解釈が存在します。ジャカルタのムルデカ広場にある独立記念塔には、独立宣言文とともに皇紀の日付が刻まれています。また、独立宣言書の実物にも同様の皇紀表記があります。

日本との関係

東京裁判が行われた市ヶ谷防衛省の構内には、[インドネシア]]政府から寄贈された、インドネシア独立軍司令官スディルマン将軍の銅像が建てられています。スディルマン将軍もまた、日本軍政下で設立された[[郷土防衛義勇軍]の出身者です。

脚注

参考文献

アフマッド・スバルジョ著、奥源造編訳『インドネシアの独立と革命』龍渓書舎、1973年。
増田与、後藤乾一、村井吉敬『現代インドネシアの社会と文化』現代アジア出版会、1979年。
Mata Elang Media. (2011). Kabinet Indonesia Bersatu II (Jilid II)+UUD 1945 dan Perubahannya. Mata Elang Media. Jakarta.
H. Endang Saifuddin Anshari.(1997). Piagam Jakarta 22 Juni 1945:sebuah konsensus nasional tentang Dasar Negara Republik Indonesia(1945-1959). Gema Insani Press. Jakarta.
水間政憲『ひと目でわかる「アジア解放」時代の日本精神』PHP研究所、2013年8月。ISBN 978-4569813899。
ヘンリー・スコット・ストークス; 加瀬英明 著、藤田裕行 訳『なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか』祥伝社新書、2012年8月。ISBN 978-4396112875。

関連項目

* 郷土防衛義勇軍

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