ローラン・グーヴィオン＝サン＝シール

ローラン・グーヴィオン＝サン＝シールの生涯

ローラン・グーヴィオン＝サン＝シール（1764年4月13日 - 1830年3月17日）は、ナポレオン時代のフランス軍の元帥であり、その軍歴と独特な人柄が特筆されています。彼はロレーヌ地方のトゥールで生まれ、皮革加工業を営む家庭で育ちました。両親が早くに離婚したため、家業に従事することを望まず、独自の道を模索することになります。彼は若い頃、語学や数学、絵画、製図を学び、イタリアに渡って画家を目指すなど、多彩な才能を持っていました。しかし、1792年のフランス革命の時に軍人としての道を選び、共和国軍に入隊したのです。

軍人としてのキャリア

軍隊に入隊した際、彼は「サン＝シール」という姓を名乗り、珍しい複合姓が誕生しました。これは、同姓のいとことの区別を意図したものでした。グーヴィオンはその教育背景と軍人としての才能から、短期間で将官に昇進し、ドゼーやネイ、ダヴーといった著名な軍人とも知り合いました。

ナポレオン時代において彼の活動は主にラインとイタリア方面で活躍を見せ、有能な師団長として評価されました。ただし、彼は熱烈な共和主義者であったため、ナポレオンとの関係は良好ではありませんでした。1804年の戴冠式にも出席せず、しばしば閑職に回されるなど、出世は遅れましたが、1807年のポーランド戦ではその実力を証明し、1808年にはカタルーニャで第7軍団を指揮して活躍します。

主な戦績

彼はポロツクの戦いでロシア軍を打ち破ったことを含む多くの戦闘で功績を上げ、その結果、ナポレオンの信任を再度得ることになります。1808年には帝国伯爵に叙爵され、1812年には元帥に任命されました。しかし、ドレスデンの戦いでは不手際を見せ、その後の防衛戦では持ち前の指揮能力を発揮し、三ヶ月間の持久戦を戦い抜きました。1814年にはフランス王国貴族院議員に任じられました。

政治と後の人生

1815年、ナポレオンのエルバ島脱出に従わず、ワーテルローの戦い後には臨時政府に参加し共和制を主張しましたが、王政復古により多くの困難な局面を経験しました。旧友であるネイを救おうと奔走しましたが成功せず、百日天下でナポレオンに仕官しなかったことから、戦争大臣に任命され、軍の改革に着手しました。しかし、保守反動によりその努力は2年で挫折し、最終的に1821年までには全ての官職を退くことになったのです。

人物評価とエピソード

グーヴィオンは冷静沈着であり、清廉潔白な人物として知られていますが、無表情で冷淡に見えたため、人々からは「スパルタ人」や「氷の人」といった異名を持たれました。彼はまた、画家や音楽家としても才能を発揮しており、戦場の後には僧院にひきこもりバイオリンを弾くこともありました。部下からの信頼は厚く、1813年の戦役で起用された際、将兵たちの支持を受けました。

結論

結果として、グーヴィオン＝サン＝シールはナポレオンの元帥たちの中では知名度は低いものの、その軍人としての優秀さからは特異な存在であり、彼の業績や人柄は今日においても語り継がれています。

もう一度検索