ローリング (映画)

映画『ローリング』について

『ローリング』は2015年に公開された日本のドラマ映画で、冨永昌敬が監督及び脚本を務めています。物語は茨城県水戸市を舞台に、失われた時間と向き合う人々の複雑な人間関係が描かれています。この作品は第23回レインダンス映画祭にも出品されました。

あらすじ

物語は、高校教師として故郷の水戸市で働いていた権藤（演：川瀬陽太）の過去から始まります。彼は女子更衣室に関する盗撮事件が発覚し、10年前に教職を退いています。その後、東京で出会ったキャバクラ嬢のみはり（演：柳英里紗）とともに10年ぶりに水戸に帰郷します。しかし、元生徒たちからの慰謝料請求を恐れ、権藤とみはりは雑居ビルに隠れる生活を余儀なくされます。

そこで、権藤のかつての教え子である貫一（三浦貴大）が偶然にもそのビルにいて、彼は権藤を匿い、怪我をしたみはりの手当てをします。彼は権藤に新たな職を紹介するものの、権藤の行動が彼の期待を裏切ったことで、貫一は徐々に権藤に失望していくのです。

その後、権藤はクラブで泥酔し、目覚めると元教え子たちと共にかつての事件を振り返ることになります。彼らは盗撮された映像のハードディスクを持参し、朋美（演：井端珠里）の芸能事務所に連絡します。そこで権藤は、謝礼として多額の現金を受け取ることになりますが、権藤の心は次第に葛藤に包まれていきます。

貫一は、朋美との親しい関係を築きますが、朋美から女子更衣室の映像をインターネットに流すようにとお願いされることになります。過去の恋愛の名残を引きずる中で、彼はその提案に対して決断を下せず、結局は映像のバックアップを捨てることにします。しかし、その決断は予期せぬ結果を生むのです。

映像は世間に流出し、騒動が持ち上がります。この事件をきっかけに、繁夫（演：松浦祐也）や田浦（演：礒部泰宏）との関係が険悪になり、最終的には繁夫が貫一に迫る展開へと進みます。事件の果てに、権藤とみはりは水戸を離れることになりますが、その後の数ヶ月間で貫一と田浦は権藤の遺骨を掘り起こして祈る場面が描かれ、彼らの感情が複雑に交錯します。

キャストとスタッフ

キャストには、権藤役の川瀬陽太をはじめ、みはり役の柳英里紗、貫一役の三浦貴大、繁夫役の松浦祐也などの実力派が揃い、情感豊かな演技を見せています。監督の冨永昌敬は、作品全体を通して濃厚な人間ドラマを築き上げています。

この作品は2015年4月11日に水戸芸術館で試写会が行われ、6月13日より一般公開されました。また、第89回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・テンで第10位にランクインし、幅広い評価を受けました。

まとめ

『ローリング』は、過去に背負った傷を抱える人々が葛藤しながらも前へ進もうとする姿を描いた深い人間ドラマであり、見る者に多くの考えを与えてくれる作品です。

もう一度検索