水戸芸術館

水戸芸術館：現代芸術の複合文化施設

1990年3月22日に開館した水戸芸術館は、茨城県水戸市中心部に位置する現代芸術の複合文化施設です。美術館、コンサートホール、劇場が一体となっており、多様な芸術活動を展開しています。建築家の磯崎新氏が設計を手掛け、高さ100mのシンボルタワーが印象的な建物は、水戸市制100周年を記念して建設されました。

施設概要と建設背景

水戸市中心市街地活性化の一環として、旧水戸市立五軒小学校跡地に建設された水戸芸術館。当時の水戸市長、佐川一信氏の文化によるまちおこし構想に基づき、市予算の1％（約9億円）を活動資金として充てる画期的な制度が導入されました。これは、地方自治体による文化芸術への積極的な投資の先行事例となりました。建設費は103億5,584万円にのぼります。

設計段階から美術、音楽、演劇の各部門に芸術監督が就任し、施設の機能設計に携わりました。この芸術監督制度と1％予算制度は、市長交代後も継続され、水戸芸術館の活動を支える重要な柱となっています。現在では、企画運営委員会と財団による運営に移行している部門もあります。

各部門の特色

水戸芸術館は、専属の劇団や楽団を擁し、自主企画による公演や展示を積極的に行うソフト重視の運営形態が特徴です。

コンサートホール（ATM）

クラシック[[音楽]]専用の六角形ステージを持つコンサートホールは、620～680席の可変式座席を備えています。水戸室内管弦楽団、ATMアンサンブル、水戸カルテット、新ダヴィッド同盟の4つの専属室内楽団を擁し、小澤征爾氏を音楽顧問に迎えるなど、質の高い演奏会を数多く開催しています。

ACM劇場

472～636席の可変式座席を持つ多目的劇場です。円形に配置された座席と、10分割可能な可動式舞台により、演劇、ダンス、能、映画上映など、多様な演目を上演可能です。専属劇団ACM（Acting Company Mito）によるコンテンポラリーダンスや新作劇の上演、市民向けの演劇ワークショップなども行われています。

現代[[美術]]ギャラリー

9室の展示室を持つ現代[[美術]]ギャラリーは、「水戸芸術館現代[[美術]]センター」とも呼ばれています。高い天井、明るい照明、白い壁面など、作品を最大限に引き立てる展示空間が特徴です。クリスチャン・ボルタンスキーやジェームズ・タレルの個展など、数々の話題作を展示し、若手作家の発掘・育成にも力を入れています。

建築デザインとシンボルタワー

水戸芸術館の建物は、芝生広場を中心とした古典主義的な配置が特徴です。各部門の建物は人間的なスケール感を意識した設計となっており、広場を回廊で囲む構成になっています。

特に目を引くのが、高さ100mのシンボルタワーです。チタンパネルをらせん状に組み合わせたデザインは、DNAの二重らせん構造やブランクーシの『無限柱』に着想を得ています。建設にあたっては、航空法に基づく高さ制限に関する協議も行われました。地上86.4mの展望室からは、水戸市街地を一望できます。冬期には、市民によるイルミネーションも行われています。

その他の施設

80名収容の円形会議室やレストランも併設されています。

アクセス

水戸駅より徒歩20分、バス、高速バスも利用可能です。

まとめ

水戸芸術館は、建築デザイン、芸術活動の質、市民への積極的な取り組みなど、多くの点で注目に値する文化施設です。現代[[美術]]からクラシック[[音楽]]まで、幅広い芸術に触れられる場所として、多くの人々に親しまれています。東日本大震災による被害からの復旧を経て、現在も水戸市の文化を支える重要な役割を果たしています。

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