ロールス・ロイス イーグル

イーグル航空用エンジンの概要

イーグル（Eagle）は、イギリスの著名なエンジンメーカー、ロールス・ロイスによって設計された航空用エンジンである。これは水冷V型12気筒エンジンで、特に第一次世界大戦中に多くの軍用機に搭載されたことで知られている。イーグルエンジンの開発は、航空分野における新たな技術革新と信頼性の向上を求めた結果生まれた。

イーグルIの設計と開発

イーグルIの設計は、ロールス・ロイスのフレデリック・ヘンリー・ロイスによって始まり、特にSOHC構造を採用した250hp級の大型機用エンジンの開発が指示された。開発過程では、王立航空工廠のRAF.3やルノー12エンジンのライセンス生産に関するイギリス政府との調整が行われたが、ロイスと技術者たちは、連合国の勝利に寄与するためには高信頼性のエンジンが必要であるという信念から、自らの設計を進め続けた。

1914年9月8日、イーグルIの基本設計が完成。内径は114.3mm、行程は165.1mmの60度V型12気筒で、総排気量は20,300ccに達する。構造的にはホークエンジンの拡大版であったが、ツインプラグシステムや減速比0.65:1のファルマン式プラネタリー減速ギアなどが装備されている。1915年3月に完成し、同年半ばから量産が開始された。イーグルIは、そのパワーと信頼性から、初期の大型機や新しい機体にも搭載された。

注目すべきは、イーグルIの総生産台数が104台であったことだが、その後の改良により次々と新しい型が登場することとなる。特に1917年には300hpを発揮するイーグルVIIIが登場し、これがイーグルシリーズの中で最も多く生産されたモデルである。イーグルVIIIは3302台生産され、ビッカース ビミー双発爆撃機に2基搭載され、世界初の大西洋横断無着陸飛行に成功したことでも知られている。

後続モデル

1922年には新たな型としてイーグルIXが完成し、360hpを発揮。これは民間用として設計されているため、軍用モデルとは用途が異なる。また、名称上は最終型となるイーグルXVIが1925年に試作されたが、これは全く異なるX型16気筒エンジンであり、イーグルIとの関連性はない。

エンジンの意義と影響

イーグルエンジンは、航空用エンジンの設計において重要な役割を果たした。特にその信頼性と出力は、第一次世界大戦の航空機戦略に大きな影響を与え、連合国の航空力を支える基盤となった。イーグルシリーズは、航空技術の進化を促し、エンジン設計における商業的成功を収めることとなる。

参考文献

本記事の情報は、ネコ・パブリッシングの『ワールド・カー・ガイド27ロールス・ロイス&ベントレー』を参考にしている。

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