ロールス・ロイス ダーウェント

ダーウェント (Derwent)

ダーウェントは1940年代中盤にイギリスで開発されたターボジェットエンジンであり、特にジェット戦闘機「グロスター ミーティアF.1」に搭載されていました。このエンジンの原型は、フランク・ホイットルが設計したW.2（Whittle Supercharger Type 2）で、後にローバーが独自に改良を加えたW.2B/26 (B.26)に繋がります。

開発の経緯

W.2の開発当初、ホイットルの設計は実戦に耐え得るものではありませんでしたが、その後ローバーの技術者であるモーリス・ウィルクスなどが大幅な改良を試みました。これに対してホイットルは頑なに自らの設計に固執し、その結果ローバーとの間に緊張が生まれました。最終的にローバーはW.2Bプロジェクトをロールス・ロイスに譲渡し、そこの技術者たちがこのエンジンの開発を続けました。

ロールス・ロイスの技術者たちはW.2B/26を改良し、タービンに直接燃料を噴射する方式に変更しました。この改良によって推力と安定性が大幅に向上し、構造も簡素化されました。こうしてダーウェントが生まれ、ロールス・ロイスはさらなる自信を得ることになりました。

ダーウェントの特徴

ダーウェントはその後、さまざまな型が開発されました。最初の量産型であるMk.Iは推力8.9kNを持ち、その後のMk.IIは9.8kNに引き上げられました。さらにMk.IVは改良型として推力10.7kNに達し、最終型とされました。Mk.IIIは試作段階で主翼の境界層コントロール機能を持つものでした。

特に注目すべきなのはMk.Vで、これはミーティアに特注されたニーンの縮小版です。この型は推力15.6kNを誇り、1945年には短期間で18.5kNにまで増力されました。このダーウェント5は、1947年にソビエト連邦に供与され、クリーモフ RD-500と化けました。これはその後、ミグ15戦闘機に搭載され、皮肉にも西側に対する脅威となりました。

また、ダーウェントに基づく空中輸送機なども開発されましたが、これらは試作のみに留まりました。最終型のMk.VIIIは、多く生産され、様々な機能が追加されました。

ダーウェントの影響

ダーウェントはポンペ型ターボジェットエンジンの進化に大きな影響を与えた存在です。ロールス・ロイスはこのエンジンの成功を受けて、次世代のニーンを設計し、遠心圧縮式ターボジェットエンジンの完成形を打ち立てました。

これらのジェットエンジンは多くの場合、イギリスの河川名が付けられるなど、技術的な発展だけでなく、文化的な背景をも持ち合わせる存在となっています。ダーウェントの優れた性能と開発過程は、航空機エンジンの歴史に名を刻むこととなりました。

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