ロールス・ロイス・シルヴァーセラフ

シルヴァーセラフ（Silver Seraph）の詳細

シルヴァーセラフは、イギリスの名門自動車メーカーであるロールス・ロイスが1998年から2003年まで製造した高級セダンです。このモデルの名前は、「シルヴァー」が銀を、「セラフ」が熾天使を意味し、同社のエレガンスを象徴しています。

概要

この車は、ロールス・ロイスにとって新たな時代を切り開く重要なモデルでした。1998年5月に登場し、その後2003年までの間に販売されました。シルヴァーセラフは、ロングタイプやリムジンを含む多彩なバリエーションを持ちながらも、全体的にはシャープで流線形のデザインが特徴的です。

シルヴァーセラフは一時期、BMWとフォルクスワーゲンの合作の枠組みの中で開発されました。2002年まではBMWがエンジンを供給し、フォルクスワーゲンが製造と販売を担当していました。しかし、その年末にはフォルクスワーゲンがロールス・ロイスの生産を終了し、シルヴァーセラフの製造もその後間もなく中止されました。

デザインと技術

シルヴァーセラフは、伝統的なロールス・ロイスの要素を取り入れつつ、現代的な技術で刷新されました。外装は、ロボットとハンドスプレーによる塗装が施されており、従来のモデルに比べて曲面を多く取り入れています。その結果、Cd値（空気抵抗係数）は0.38に改良され、優れた空力性能を実現しています。全長や全高も若干大きくなり、威風堂々とした存在感を持っています。車体の剛性も65%向上し、前後の重量配分においても理想的な50:50を達成しました。

エンジンには、BMW製V型12気筒エンジンが搭載され、最高出力は326PS、最大トルクは50.2kgmを引き出します。この強力なパワートレインにより、0-100km/hの加速はわずか7秒、最高速度は225km/hに達します。また、サスペンションはダブルウイッシュボーン方式を採用し、電子制御のダンパーや自動車高調整機能が搭載されています。

内装の贅沢

内装は、ロールス・ロイスの伝統を受け継いだ極上のクオリティが感じられます。ウッドパネルや本革をふんだんに使用したインテリアには、最新技術を駆使して曲面部分にも木目が施されています。特に、エアバッグ内蔵の本革ステアリングには、本木目があしらわれ、豪華さを感じさせます。

さらに、前席にはカップホルダーや独立型オートエアコンが備わり、利用者の利便性にも配慮されています。後席にはピクニックテーブルが収納されており、快適な乗り心地が楽しめる設計になっています。サンルーフはオプションで装備されることもあり、より開放的な空間を提供します。

短命の理由と後継モデル

シルヴァーセラフは、販売期間がわずか5年と短命でした。従来のロールス・ロイスのモデルが20年近く生産されることが多い中、このモデルは時代の変遷の中で早々と終了してしまいました。その後、2003年にはBMW傘下による新世代のロールス・ロイス・ファントムが登場し、シルヴァーセラフの後継車となりました。

まとめ

シルヴァーセラフはロールス・ロイスの持つ高級感と技術を象徴するモデルであり、流麗なデザインと先進的なエンジンにより、多くの自動車ファンを魅了しました。その短命ながらも影響力のある存在は、自動車史にその名を刻むものでしょう。

もう一度検索