ロールス・ロイス/スネクマ オリンパス 593

ロールス・ロイス/スネクマ オリンパス 593：超音速旅客機コンコルドの心臓

ロールス・ロイス/スネクマ オリンパス 593は、超音速旅客機コンコルドのために開発されたアフターバーナー付きターボジェットエンジンです。このエンジンは、イギリスのブリストル・シドレー エンジンズ リミテッド（BSEL）とフランスのスネクマによる共同開発から始まりました。1966年にロールス・ロイスがBSELを買収したことで、開発はロールスロイスのブリストルエンジン部門が引き継ぎました。

コンコルドは、定期運行を終了するまでアフターバーナーを搭載した唯一のジェット旅客機であり、オリンパス593はその独特な飛行を支える重要な役割を果たしました。巡航時の熱効率は約43%と、他の熱力学機械よりも高い効率を実現していました。

開発の経緯

エンジンの初期設計は、オリンパス22Rの民間機版である591として再設計されました。オリンパス22Rは、BAC TSR-2向けにマッハ2.2での45分間の持続飛行を可能にするために設計されたエンジンでした。1964年1月1日、591は593として知られるエンジンへと再設計され、仕様が確立されました。この計画は、イギリスのブリストル・シドレーとフランスのスネクマが分担して進められました。

初期開発段階では、燃料消費率（SFC）、エンジン圧縮比、重量/寸法、タービン入口温度など、多くの要素について調査が行われました。ターボジェットとターボファンが検討されましたが、ターボジェットの前面投影面積の小ささが性能向上に不可欠であることが判明しました。競合機であるロシアのTu-144は、当初アフターバーナー付きターボファンを使用していましたが、性能向上のためにアフターバーナーなしのターボジェットに転換しています。

エンジンと補機類の開発はブリストル・シドレーが担当し、スネクマは可変エアインテーク、排気ノズル、逆噴射装置、騒音低減、アフターバーナーを担当しました。オリンパス593の量産はイギリスが主に担当し、機体の製造はフランスが主に担当しました。設計段階で機体の重量が増加したため、エンジンの離陸推力が不足する問題が発生しましたが、スネクマが開発した部分的アフターバーナーの導入により、ピーク時の推力を20%増加させることで解決しました。

オリンパス593Bは1965年11月に初めて運転されました。B型は、初期の小型コンコルド設計用に計画された593Dの再設計仕様であり、593Dの試験結果がB型の設計に活用されました。その後、識別名称からBが削除されました。スネクマは、ノズルシステムの試験用縮小モデルとしてオリンパス301を使用しました。

1966年6月には、オリンパス593エンジンが完成し、可変エアインテークがフランスのMelun-Villarocheで初めて運転されました。ブリストルでは、アブロ・ヴァルカン爆撃機を改造した飛行試験機を使用して、エンジンとナセルを爆弾槽に搭載した状態での飛行試験が開始されました。試験はヴァルカンの空気力学的限界からマッハ0.98に制限されましたが、試験中にオリンパス593は仕様を超える推力35,190 lbfを達成しました。

コンコルド001試作機は1969年3月2日にトゥールーズで初飛行し、離陸時にアフターバーナーを使用して205ノットで4,700フィートの滑走後、離陸しました。

最終的に67基のオリンパス593エンジンが製造されました。

技術的特徴

オリンパス593は、アフターバーナーを備えた2軸式のターボジェットエンジンです。低圧および高圧圧縮機はどちらも7段で構成され、それぞれが単段のタービンで駆動されます。圧縮機のドラムとブレードは、高温にさらされる高圧部の後方4段を除き、チタン製です。高圧タービンの回転翼は冷却されています。

離陸時に必要な推力を確保するため、部分的なアフターバーナーが搭載されており、推力を20%増加させることができます。また、マッハ1以下からマッハ1.7までの遷音速加速時にも使用されます。超音速巡航時、エンジンは推進システム全体の推力の約8%を担います。

可変エアインテーク

コンコルドの可変エアインテークは、できる限り高圧でエンジンに空気を送り込むために、機体速度に応じて最適化されています。超音速圧力回収は、複数の衝撃波をエアインテーク内で生成することで実現されます。コンコルドのエアインテーク前部ランプは、外部の超音速流による衝撃波が圧縮を助けるように変化します。

排気ノズル

可変式排気ノズルは、飛行段階に応じて開口度が変化する2つの「まぶた」で構成されています。完全に閉じている状態では逆推力装置として機能し、着陸時の減速に使用されます。巡航時には完全に開いた状態で、排気の膨張を制御します。

各派生型

593: コンコルド用の原型機
593-22R: 試作機に装備された動力
* 593-610-14-28: 量産型コンコルドに装備された最終型

オリンパス593は、コンコルドの超音速飛行を支えた革新的なエンジンであり、航空史における重要なマイルストーンとして記憶されています。

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