ワイオミング (戦闘スループ)

初代ワイオミング（USS Wyoming）の艦歴

初代ワイオミングは、1858年にフィラデルフィア海軍工廠で起工し、1859年に進水・就役を果たしたアメリカ海軍の木造スクリュー戦闘スループです。初代艦長にはジョン・ミッチェル中佐が就任しました。この艦は南北戦争期間中に北軍に属し、特にアラバマ（CSS Alabama）を追跡するために太平洋に派遣されました。

米国西海岸での任務（1859-1862年）

就役後、ワイオミングはホーン岬を通り、1860年には中米のニカラグア沖に到達します。その後、帆走戦闘スループ・レバントと任務を交代し、中米の海域で活動しました。1861年春には南北戦争が勃発し、艦はカリフォルニア沿岸を航行する郵便船を保護する任務に移行しましたが、ミッチェル艦長が反抗的な態度を示したため解任されることになります。副長のフランシス・マレーが艦を指揮したのち、艦はモントレーへ向かいましたが、海難事故や石炭不足に見舞われたのです。

その後サンフランシスコに向かい、1861年にデビッド・マクドゥガル中佐が新艦長として就任し、艦は南部の艦艇から合衆国の捕鯨船を守る任務に従事しました。

極東での活動（1862-1863年）

1862年6月、ワイオミングは極東に派遣され、南軍艦艇の私掠行為を阻止する任務を果たしました。アラバマ艦との遭遇が懸念され、セメス艦長はワイオミングの動向を注視していましたが、両艦が交戦することはありませんでした。1863年春にはフィラデルフィアに帰還するよう命令を受けました。

下関事件（1863年）

1863年5月、ワイオミングは日本の横浜に派遣され、攘夷機運の高まる中で米国市民を保護するために艦旗を掲げました。特に長州藩は下関海峡での攘夷を強行し、米国商船に攻撃を加えました。この事態を受け、マクドゥガル艦長は長州藩の艦艇を武力で制圧する決断を下します。7月15日、艦は下関に向けて出港し、海峡に入った際に戦闘を開始しました。ワイオミングは長州藩の艦艇に対して砲撃を加え、いくつかの艦を沈没・大破させることに成功しました。

この一連の攻撃は、ワイオミングが日本において初の外国軍艦による攻撃となり、その後艦は横浜に引き返しました。しかし艦には被弾した部分も多く、4人が死亡、7人が負傷する結果となりました。

私掠船の掃討（1863-1864年）

日本での任務に続き、ワイオミングはアラバマ号を追跡するために短期間の修理後、東インドへ向かいますが、アラバマを見つけることはできませんでした。1864年、艦はフィラデルフィアに戻り、長期間にわたる各地での任務を終えました。

東インド艦隊とその後（1865-1878年）

1865年からの新たな任務では、ワイオミングは東インド艦隊に加わり、続いてアジア艦隊の一員として活動し、南軍の私掠船シェナンドーを捜索しました。1872年から1878年には北大西洋艦隊に所属し、様々な地域を訪れました。

最終的な任務と艦の役割

ワイオミングは1882年から1892年まで、アナポリス海軍兵学校の練習艦としての役割を果たし、1892年に売却されるまで、長い歴史を持つ艦艇として多くの任務を全うしました。

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