ワイコロア・ビーチ

ハワイ島西岸、南コハラ地区に広がるワイコロア・ビーチは、世界的に知られるリゾート地帯です。特に、大規模なホテルやコンドミニアム、商業施設などが集積しており、滞在型リゾートとして非常に人気があります。広大な敷地を持つヒルトン・ワイコロア・ビレッジなどを中心に発展しており、多様な宿泊施設やアミューズメント施設が整備されています。一方で、この地域にはハワイ先住民が暮らしていた痕跡や、独自の生態系を持つ自然環境が今も豊かに残されており、単なるリゾート開発に終わらない、文化と歴史の深さも魅力となっています。

同じ「ワイコロア」の名を持つワイコロア・ビレッジは、ここから内陸へ約9.2キロメートル（5.8マイル）離れた山側に位置する住宅・コンドミニアムエリアであり、ワイコロア・ビーチのリゾートエリアとは区別されます。

主要なリゾート施設

ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ：約25万平方メートルという広大な敷地を誇る、この地域を代表する施設です。約1500室の客室とスイートを備えています。元は日本の資本で1988年に「ハイアット・ホテル」として開業しましたが、2002年にヒルトンへ売却され、現在の名称となりました。敷地内は非常に広く、移動には専用のボートやトラムが運行されています。また、施設内にはイルカと触れ合えるラグーンなども設けられています。
ワイコロア・ビーチ・マリオット：ヒルトンの南側に位置する、約6万平方メートルの敷地を持つオーシャンフロントのリゾートホテルです。
その他の施設：上記ホテル以外にも、多数のコンドミニアムが点在しており、長期滞在にも適しています。また、ゴルフコース、テニスコートなどのスポーツ施設に加え、「クイーンズ・マーケット・プレイス」や「キングス・ショップス」といったショッピングセンターも充実しています。これらの商業施設には様々な商店やレストランが集まり、観光客だけでなく、ハワイ島に暮らす人々もイベントなどで訪れる賑やかな場所となっています。

自然と文化遺産

リゾート開発が進められた地域ではありますが、古代ハワイの歴史や独自の自然が今も大切に守られています。

アナエホオマル湾：ワイコロア・ビーチは、風光明媚なアナエホオマル湾（Anaehoomalu Bay）に面しています。ここでは砂浜と岩場の両方の海岸景観を楽しむことができ、シュノーケリングなどのマリンアクティビティに適しています。また、養魚池が隣接しており、湾に沈む夕日の美しさでも知られています。
アラ・カハカイ国立歴史トレイル：かつてハワイ王朝時代に交易路として使われた小道の跡が「アラ・カハカイ国立歴史トレイル」として整備されており、ハワイ島西部から南部にかけて残っています。ワイコロア・ビーチ周辺でもこの歴史的な小道を散策することができます。
汽水の池：この地域には、淡水と海水が混じり合う独特な生態系を持つ汽水性の池が存在します。河口からの水の供給だけでなく、常に真水が湧き出していることが特徴です。これらの池は1985年よりハワイ大学によって「ワイコロア・アンキアライン池保護エリア」（Waikoloa Anchialine Pond Preservation Area）として管理・保護されており、甲殻類や軟体動物、エビの一種などが生息しています。
養魚池：アナエホオマル湾の近くには、「クウアリイ養魚池」（Kuʻualiʻi Fishpond）と「カハパパ養魚池」（Kahapapa Fishpond）という二つの養魚池があります。これらは地形学的には汽水性の池（アンキアライン池）であり、かつてハワイ先住民が魚を養殖するために利用していた歴史的な場所です。
岩面彫刻（ペトログリフ）：文字を持たなかったハワイ先住民は、溶岩の上に様々な図像を刻むことで記録を残しました。これを「岩面彫刻」（Petroglyph）と呼びます。ワイコロア・ビーチ周辺は、この岩面彫刻を比較的間近で見ることができる場所の一つであり、古代ハワイの人々の暮らしや信仰に触れる貴重な機会となります。

交通アクセス

ワイコロア・ビーチへは、最寄りのコナ国際空港（KOA）からハワイ州道19号線を北へ車で約20分とアクセスが良好です。ハワイ島のもう一つの玄関口であるヒロ国際空港（ITO）からは、車で1時間程度かかります。

リゾートとしての快適さと、古代から続くハワイの自然や文化遺産が調和したワイコロア・ビーチは、ハワイ島滞在において忘れられない体験を提供してくれるでしょう。

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