ワイプ

ワイプの技術とテレビにおける演出

映像技術用語の「ワイプ」は、特に映像の場面転換において用いられます。この技術は、ある画面が他の画面によって拭き取られるように表示されることから名付けられました。映画やテレビ番組では、ストーリーや時間の変更、複数の場所の同時表現を可能にする技法の一つとして広く使われています。

ワイプの基本

ワイプの基本的な動作として、前の映像が新しい映像に差し替わる「トランジション」が挙げられます。特に映像技術においては、ワイプパターンを使用してキーを生成し、これを基に元の画面を抜き出して合成します。また、映像が元の画面から次の画面へと「プッシュ」されるように表示される場合、これを「プッシュワイプ」と呼ぶこともあります。日本では「ワイプイン」や「ワイプアウト」といった表現が使われ、状況に応じて使い分けられます。

小窓としてのワイプ

ワイプの第二の用義では、画面の一部に小さな窓を設けて新たな映像を重ねて表示する方法が含まれます。この演出は、「コーナーワイプ」とも呼ばれ、テレビ番組において登場人物の顔を映すための工夫として利用されることが多いです。特にニュース番組では、ニュース素材を小画面として、アナウンサーの肩の上に表示させることが一般的です。

テレビ番組におけるワイプの発展

日本では、特に子供向け番組では、場面が切り替わる際にワイプが頻繁に使用されます。1991年に『さわやか3組』が初めてワイプを取り入れた際、画面のAとBの境界が不明瞭であったため、ワイプには時間がかかりました。しかしその後、視覚的な境界線が明確化され、ワイプを使用する時間は短縮されていきました。これにより、視聴者にとっての視認性が向上しました。

また、1971年に日本テレビが行ったプロ野球中継終了後の後続番組でのワイプ利用が、DVEワイプの普及の起源とされています。これにより、映像の拡大縮小とともにワイプ効果が方便されるようになりました。

ワイプ芸とその批判

1990年代から、日本のバラエティ番組では「ワイプ芸」が流行しています。これは、収録済みの映像を視聴している出演者の反応を同時に表示する手法で、彼らが大げさなリアクションをとることが特徴です。視聴者の中にはこの演出を「邪魔だ」と感じる声も多く、時には批判の対象となります。特に、制作側が「こう思え」と視聴者に感情を強要するかのように見えることが否定的に捉えられることがあります。

しかし、反対にこの風潮に賛同する出演者も存在します。お笑い芸人の有吉弘行は、ワイプ芸が苦痛であり、時には虚偽内容に基づくリアクションを要求されることに対し、忍耐を強いられていると語っています。その一方で、彼とは異なり肯定的に捉える出演者もいます。

同根語「ワイパー」

「ワイプ」という言葉は、英語の「wiper（拭き取る物）」から派生した同根語であり、その意味は日本語でも「拭く道具」として通じます。このように、映像技術における用語は、深い意味を持つ背景があり、さまざまな文脈で利用されています。

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