ワイルドターキー

ワイルドターキー：ケンタッキーの伝統と革新が織りなすバーボンウイスキー

ワイルドターキーは、アメリカ合衆国ケンタッキー州を代表するバーボンウイスキーの銘柄です。現在ではイタリアのカンパリグループ傘下にある同ブランドは、長い歴史と独自の製法、そして豊かな風味で世界中のウイスキー愛好家から高い評価を得ています。

歴史：リピー蒸留所から世界へ

ワイルドターキーの歴史は、1869年、トーマス・リピーによって設立されたリピー蒸留所にまで遡ります。その後、幾度かの所有者の変更を経て、1905年にはリピー兄弟が蒸留所を買い戻し、安定した経営を確立しました。

1855年創業のオースティン・ニコルズ社は、コーヒー、紅茶、酒類の卸売販売を主な事業としていましたが、1893年のシカゴ万博で「ケンタッキーを代表するバーボンウイスキー」に選ばれ、その名は全米に轟きました。禁酒法の時代を経て、1939年に食品卸売業から撤退し、酒類事業に専念。1970年、リピー蒸留所の買収によって、蒸留から瓶詰めまでの一貫生産体制を確立します。

その後、1980年にはペルノ・リカール社に買収され、2009年にはカンパリグループにブランドと蒸留所が譲渡されるという変遷を経て、現在に至ります。

ブランド名の由来：狩猟の思い出から

「ワイルドターキー」という個性的なブランド名は、1940年、オースティン・ニコルズ社の社長、トーマス・マッカーシーが、自ら開発した高アルコール度数のバーボンを友人たちと七面鳥狩りの際に振る舞ったことに由来します。その際、友人のひとりが、このバーボンの力強さを七面鳥になぞらえて「ワイルドターキー」と名付けたことが、ブランド名の誕生秘話です。

特徴：こだわりの製法と豊かな風味

ワイルドターキーの最大の特徴は、その豊かな風味とコクにあります。原材料となる穀物の配合比率（マッシュビル）は企業秘密ですが、マスターディスティラーのジミー・ラッセルによると、他のバーボンに比べてトウモロコシの使用量が少なく、ライ麦と大麦麦芽を多く使用することで、独特の香味を実現しているとのことです。

また、蒸留時のアルコール度数を低めに設定することで、加水量を少なく抑え、原酒に近い味わいを保っています。そして、完成した製品は、万が一の品質トラブルに備え、2年間サンプルとして保存されるという、徹底した品質管理体制も特徴です。

さらに、ラベルに描かれた七面鳥のイラストも、ワイルドターキーのアイデンティティを象徴する要素です。1999年には、正面を向いていた七面鳥が横を向くデザインに変更されました。その理由は公式には発表されていませんが、正面の七面鳥の目が怖いという声があったという説があります。2011年には、主要製品のパッケージデザインがリニューアルされました。

ラインナップ：多様なバリエーション

ワイルドターキーは、スタンダードな製品から、熟成年数違い、異なるアルコール度数、さらにはライウイスキーなど、幅広いラインナップを展開しています。代表的な製品には、以下のものがあります。

ワイルドターキー スタンダード
ワイルドターキー 8年
ワイルドターキー 12年
ワイルドターキー レアブリード
ワイルドターキー トリビュート 15年
ワイルドターキー ケンタッキースピリット
ワイルドターキー マスターディスティラーセレクション 14年
ワイルドターキー アメリカンスピリット 15年
ワイルドターキー トラディション 14年
ワイルドターキー ライ

まとめ：時代を超えて愛されるバーボン

150年以上の歴史を持つワイルドターキーは、伝統的な製法と革新的なスピリットを融合させた、まさに「ケンタッキーの魂」と言えるバーボンウイスキーです。その豊かな風味と力強い味わいは、これからも多くのウイスキー愛好家を魅了し続けることでしょう。

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