ワイルド・ギャンブル

『ワイルド・ギャンブル』（原題：Mississippi Grind）は、2015年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画です。監督はアンナ・ボーデンとライアン・フレックが共同で務め、主演はライアン・レイノルズとベン・メンデルソーンが担当しました。

本作はアメリカで製作され、高い評価を得ましたが、日本では劇場公開されませんでした。しかし、後にWOWOWで放映され、DVDも発売されており、国内でも視聴する機会は提供されています。

ストーリー

物語の中心となるのは、ギャンブルで生計を立てているものの、近頃ツキに見放されている男、ゲリーです。アイオワ州のカジノでプレイしていたある日、彼は年下のギャンブラー、カーティスと出会います。テキサス・ホールデムで大勝し、気前よくゲリーにバーボンを奢ったカーティス。その後再会したゲリーも彼に一杯おごり返し、二人は意気投合。ギャンブルの秘訣を尋ねるゲリーに、カーティスは「勝ち負けに執着しないことさ」と答えます。そのまま二人は酒を酌み交わし、翌日も共にギャンブルに没頭します。

最初は大勝した二人でしたが、さらなる利益を求めて粘ったゲリーは、不運に見舞われそれまでの稼ぎを全て失ってしまいます。その後、酒場でギャンブルをしようとしますが、常連客の反感を買い追い出されてしまいます。カーティスはゲリーに「マチュピチュ行きが近づいてきた」と告げます。これは彼が好んで使う隠語で、「別の町へ移動する」ことを意味しますが、カーティス自身は一度もペルーを訪れたことはありませんでした。さらに、酒場での一件を知った男に、ゲリーは腹部を刺されるという事態に見舞われます。

翌朝、知人のサムから借金の返済を厳しく催促されるゲリー。手元に返済できる金がない彼は、「期日を過ぎれば荒っぽい取り立て屋が来る」と脅され、窮地に立たされます。この状況を打開すべく、ゲリーはカーティスを誘い、一獲千金を狙って大都市へ打って出ることを決意します。彼らが目指すのは、ニューオーリンズで開催される掛け金2万5000ドルのポーカーゲーム。ここで勝利すれば、借金を一気に清算できると考えたのです。

二人は旅の資金作りのため、手始めにセントルイスで腕試しを試みます。ゲリーはポーカーで圧勝し、現地で知り合った娼婦のヴァネッサとシモーヌと共にひとときを過ごします。シモーヌはカーティスに対し、「過去にギャンブラーに裏切られた経験があるから、相棒を信用しすぎない方がいい」と忠告を与えます。旅は続き、メンフィスを訪れたゲリーは、またしても大勝を収めますが、ここぞという勝負所で敗北し、稼ぎを全て失ってしまいます。この事実をカーティスに伝えられないまま、二人は元妻が暮らすリトルロックへ向かいます。ゲリーは隙を見て金を盗もうとするも、その行為が見つかり家を追い出されてしまいます。

ゲリーとカーティスは、ギャンブルと旅を通じて様々な経験をし、互いの関係やそれぞれの人生を見つめ直していくことになります。

キャスト

ライアン・レイノルズ - カーティス
ベン・メンデルソーン - ゲリー
シエナ・ミラー - シモーヌ
リオ・ティプトン - ヴァネッサ
アルフレ・ウッダード - サム
ジェイソン・ワーナー・スミス - クリフォード
ロビン・ワイガート - ドロシー
マーシャル・チャップマン - シェリー
ジェーン・マクニール - ケイト
インディゴ - ドーラ
ジェームズ・トバック - トニー・ラウンドツリー
ジェイソン・シャフェッテ - チャック

製作背景

本作の製作は2012年頃に始まりました。当初、主演の一人としてジェイク・ジレンホールの出演が報じられましたが、後に降板。その代役としてライアン・レイノルズが起用されました。もう一人の主演であるベン・メンデルソーンは2013年1月に出演が報じられています。他にもシエナ・ミラーやリオ・ティプトンらがキャストに加わりました。主要撮影は2014年1月にアラバマ州モービルで開始されています。

公開

『ワイルド・ギャンブル』は、2015年1月24日にサンダンス映画祭でワールドプレミアを迎えました。その数日後、配給権をA24とディレクTVが獲得したことが発表されました。その後も、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭、メルボルン映画祭、トロント国際映画祭といった各国の映画祭で上映され、高い評価を得ました。

評価

批評家からの評価は概ね高く、主要な映画批評集積サイトでもその質が認められています。Rotten Tomatoesでは、109件のレビューに基づき批評家支持率が90%を記録し、平均点も10点満点中7.3点となっています。同サイトの総評では、「『ワイルド・ギャンブル』は優れた演技と、作品全体に深く染み込んだ南部の雰囲気が特徴。ロードムービーとギャンブル狂という、使い古されたジャンルを見事に乗り越えている」と評されています。また、Metacriticでも27件のレビューに基づく加重平均値が73/100となり、「概ね好評」の評価を得ています。

本作は、ギャンブルに彩られた旅路を通して、二人の男の人間模様と再生への微かな光を描き出した作品として、批評家や観客から高く評価されました。

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