ワイルド・ストーム

ワイルド・ストーム：ハリケーンに翻弄される6億ドル強奪劇

2018年公開のアメリカ映画『ワイルド・ストーム』（原題：The Hurricane Heist）は、巨大ハリケーンを舞台に繰り広げられる、スリリングな強盗アクション映画です。監督はロブ・コーエン、主演はトビー・ケベルとマギー・グレイスという豪華キャストが名を連ねています。

物語は、財務省が管理する紙幣処理施設を狙う武装集団の計画から始まります。彼らは、巨大ハリケーンの襲来という絶好の機会を利用して、6億ドルもの古い紙幣を強奪しようと企てます。ハリケーン上陸の日、運命の悪戯か、施設のある浜辺の町には、ハリケーン調査に訪れていた気象学者ウィル・ラトリッジ兄弟と、施設を管理する財務省職員ケーシーが残されます。

ウィルは、最強の災害用特殊車両“ドミネーター”に乗りこんで、ハリケーンの調査を行っていました。1992年、幼少時に父を巨大ハリケーンで亡くした過去を持つウィルは、このハリケーンにも強い個人的な思い入れを持っています。兄のブリーズは町の修理屋で元軍人という経歴を持ち、ウィルと共に事態の解決に挑みます。一方、ケーシーは、冷静沈着に状況を分析し、強盗団に対抗策を講じようとしていました。しかし、ケーシーの相棒である財務省職員コナー・パーキンスは、実は武装集団のリーダーであり、極秘裏に強盗計画を進めていました。犠牲者を出さずに施設を襲撃するという、巧妙で冷酷な計画です。

物語は、ハリケーンの猛威と強盗団の巧妙な計画、そしてそれを阻止しようとする3人の攻防をスリリングに描きます。彼らは、迫りくる自然災害と戦いながら、6億ドルの紙幣強奪という世紀の大犯罪を阻止しようと奮闘します。町を取り巻く状況は刻一刻と変化し、緊迫感は増していきます。ウィルの専門知識、ブリーズの戦闘経験、そしてケーシーの冷静な判断が、この危機を乗り越える鍵となるでしょう。しかし、町を取り仕切る保安官ジミー・ディクソンもまた、6億ドルという巨額の金に目がくらみ、武装集団に協力するという裏切り行為に出ます。

本作の製作は2016年に開始されました。当初は『Category 5』というタイトルで計画が進められ、撮影はブルガリアで行われました。公開直前にはタイトルが『The Hurricane Heist』に変更されています。

公開された『ワイルド・ストーム』は、興行収入においては期待を下回る結果となりました。公開初週末の興行収入は302万ドルと、ロブ・コーエン監督作品としては最低の成績でした。

批評家の評価も芳しくなく、Rotten Tomatoesでは批評家支持率48%、Metacriticでは35/100という低評価となっています。批評家からは、アクションシーンは派手だが、ハリウッドがこのようなタイプの映画を作らなくなった理由を示しているという酷評が寄せられました。

しかし、自然災害と犯罪が絡み合う緊迫感あふれるストーリー、そして豪華キャスト陣の演技は、多くの観客を魅了しました。ハリケーンという圧倒的な自然の力と、人間の欲望が激突する、忘れがたいエンターテイメント作品と言えるでしょう。

類似作品として、『フラッド』が挙げられます。こちらも大災害中の強盗という共通の設定を持つ作品です。

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